福島原発事故:最後に残されていた双葉町の除染作業開始
毎日新聞 2015年05月20日 20時36分(最終更新 05月20日 23時36分)
環境省は20日、東京電力福島第1原発事故で避難区域に指定された福島県内11市町村のうち、唯一除染を行っていなかった双葉町で除染作業を始めた。同町は、町面積の96%が帰還困難区域(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)で、今回の除染は残り4%に当たる避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)が対象。これで避難区域の全自治体で国の除染が実施されることになり、地域再生に向けた取り組みを前進させる足掛かりとなりそうだ。
避難先の埼玉県加須市から2年前に福島県いわき市に役場機能を移した双葉町は、福島県内にとどまった他の避難自治体より町の復興計画作りが遅れた影響で、環境省の除染計画もずれ込んだ。
除染が始まった避難指示解除準備区域は、震災の津波で大きな被害を受けた町北東部の地域。津波で流された宅地を含め、農地や道路など計約200ヘクタールを来年3月までに除染する。帰還困難区域の除染についてはまだ計画も策定されていない。
除染対象地域の行政区長、斉藤六郎さん(77)は「町全体が住める環境にならないと帰還できない」と帰還困難区域の除染も求める一方、「小さいが大きな一歩には違いない」と除染開始を歓迎した。【栗田慎一】