高浜原発:運転差し止め異議で審尋 厳しい11月再稼働
毎日新聞 2015年05月20日 23時20分
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた福井地裁の仮処分決定を不服として関電が申し立てた異議の第1回審尋が20日、福井地裁であった。林潤裁判長は今年11月13日まで計3回の審尋を開く日程を決めた。異議審で決定が覆らない限り運転停止の仮処分の効力が続くため、関電が想定している11月の3、4号機再稼働の実現は厳しくなった。
異議審は差し止めを命じた樋口英明裁判長らとは別の裁判長ら3人が担当。審尋は非公開で行われた。住民側と関電側双方によると、林裁判長は今回の仮処分を「社会的影響の大きい事件」とした上で「双方の主張と争点を正確に把握し、判断したい」との方針を示した。11月まで3回の審尋の期日を指定する一方、審理が進めば途中で打ち切って判断を下す可能性にも触れたという。
異議申し立てで関電は、地裁決定が想定される最大の揺れ(基準地震動)を超える地震が来れば「全電源喪失から5時間あまりで炉心損傷が起きる」とした点などについて「科学的・専門的知見を踏まえず、事実誤認がある」などと主張。決定取り消しを求めた。
高浜3、4号機は原子力規制委員会の安全審査に合格済み。関電は「工事計画認可や地元同意は行政上の審査で、司法手続きとは関係しない」とし、福井地裁の仮処分が覆らなくても再稼働手続きを進める方針。ただ、営業運転前に不可欠な原子炉の試運転は「仮処分が覆らない限り、事実上、不可能」。このため試運転の段階になると再稼働手続きが止まる可能性がある。
再稼働に向けた試運転期間は1カ月程度。福井地裁での審尋が予定通り11月まで続けば、仮に仮処分決定が覆っても、関電が想定している11月再稼働は困難になる。【竹内望、岸川弘明、古屋敷尚子】