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アビガン、初めて備蓄薬の検討対象に- 新型インフル対策、作業班が初会合
厚生科学審議会感染症部会の新型インフルエンザ対策に関する小委員会の下に設置された「医療・医薬品作業班」は20日、初会合を開いた。厚生労働省はこの会合で、抗インフルエンザウイルス備蓄薬の備蓄総量の目標と、備蓄薬剤の種類と量の目標を検討課題に挙げ、富士フイルム子会社の富山化学工業が開発した経口薬のアビガンを、初めて備蓄薬剤の検討対象とした。【丸山紀一朗】
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国は現在、経口薬のタミフル(中外製薬)を約3000万人分、吸入薬のリレンザ(グラクソ・スミスクライン)を約530万人分備蓄している。しかしこのうち、2006年度に備蓄を始めたタミフル約1093万人分とリレンザ約59万5000人分は、16年度から順次期限切れとなる。これに伴い、16年9月から、現行の備蓄目標である「国民の45%」を下回るという。
そこで厚労省は今回、備蓄総量の目標を現行の45%に据え置くかどうか、備蓄薬剤の種類を現行のタミフルとリレンザの2剤から変えるかどうかなどの検討を開始。この日は、他の抗インフルエンザウイルス薬として吸入薬のイナビル(第一三共)、静注薬のラピアクタ(塩野義製薬)と共に、アビガンを検討対象に挙げた。
特に今回初めて俎上に上ったアビガンについては、作用機序などの説明に時間を割いた。アビガンは、ウイルスの遺伝子複製を抑制するという点で、タミフルやリレンザなどと違うメカニズムを持つ一方、動物試験で催奇形性が認められたため、新型インフルエンザウイルス感染症などが発生し、既存薬が効かなかったり、効果が不十分だったりした場合で、国が使用すると判断した時のみ使用するとし、条件付きで薬事承認されたことを紹介した。
また承認条件の一つとして、季節性インフルエンザウイルス感染症における有効性・安全性を確認するため、臨床試験の実施が挙げられていたが、厚労省はこれについて、まだ終えていないことを明らかにした。
同省によると、6月中に開く次回の作業班の会合で改めて検討課題について審議し、議論がまとまれば小委に報告する予定。その上で、今夏をめどに感染症部会の了承を得たい考えだ。仮に備蓄総量の目標などを変えることになれば、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を変更する必要があるため、同計画を所管する内閣官房の分科会に諮る見通し。
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