北朝鮮の政治的な状況が、在日の皆さんの生活にも影響しているのではないですか?
「(朝鮮民主主義人民)共和国の政治的な問題が生活にどう関わってきているかというと、私は貿易をしているわけでもないので、たぶん胸の内でしょうね。自分の祖国の1つである共和国についての問題が、テレビとかでどんどん報道されてバッシングされて胸を痛めたり、『だから嫌やねん』と思ったり、国に対しての思いは色々ですね。
私自身の考えは、共和国も韓国も自分の祖国と思っているので。悪くても良くても祖国なんですよ。で、その祖国を変える一員でもあるし。別に選挙権は無いんですけど、国家を作る1人であると思っているので、国に対する思い、国に対する愛情を私は変えたくないなと思っているんです」
『ワンコリア』と言いますけど、その気持ちは皆さん強いんですか? 出身が北か南かという事はあまり関係無いんですか?
「関係無いですね。出身と言っても、『おじいさん、おばあさんがどこから来たの?』ということになるので。
私は韓国の済州島の出身なんですが、とても大好きで去年からどんどん行くようになって、『良かった、済州島の孫娘で』と思うんですけど、だからと言って『金さんは韓国人ですか?』と言われるとちょっと返答に困るんです。
私の場合はなんですけど、領事館からもらった大韓民国のパスポートを持っているんですけど、韓国人ではないなと思うんですね。では朝鮮民主主義人民共和国の国民なのと言われても違うな、やっぱり在日同胞だなと。面白いですね。北側と南側と日本と、3つとも全部またいでいるような感覚で。
だから逆に言うと心強かったりしますね。私は朝鮮学校でずっと学んでいましたけど、実は朝鮮学校は北朝鮮、朝鮮総連系の学校です」
それは珍しい事なんですか? おじいさんが韓国の済州島出身の金さんが北の学校に通うというのは?
「ややこしいんですけど、全然珍しいことではないですね。普通ですね。特に大阪に住む在日の8割ぐらいは、韓国の済州島出身の人なので。地理的に済州島と近いですから。船に乗ってぱっと来たという感じですよね」
朝鮮学校の出身だからと言って必ずしも北の出身ではないということですね?
「そうですね。東京とか北海道には北の出身者がいるというのは聞いていますけど、私が聞いた話では、日本にいる在日同胞たちのルーツは南が多いですね」
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