プリエンプティブル VM 登場: 標準価格の 3 割で使える、まったく新しい VM
Posted:
2015年5月19日火曜日
* この投稿は、米国時間 5 月 18 日、Senior Product Manager の Paul Nash によって投稿されたものの抄訳です。
多くのデベロッパーは、単にウェブサービスを利用することにとどまらず、膨大な計算能力を必要とするワークロードのためにクラウドを利用しています。クラウドなら、スケーラビリティが高く”ペイアズユーゴー”(使った分だけの課金)で高いコストパフォーマンスが得られます。クラウドで行われている処理は、ビデオエンコード、ビジュアルエフェクトのレンダリング、データ解析やシミュレーション、ゲノミクスのためのビッグデータクランチングなどです。これらのユースケースは、大量のコンピューティングリソースを消費しますが、大抵は散発的に実行されるだけなので、クラウドコンピューティングはベストマッチです。
そして今日、すべての地域のすべてのお客様を対象として、Google Compute Engine プリエンプティブル VM をベータリリースしました。プリエンプティブル VM は、通常のインスタンスとまったく同じですが、1 つだけとても大きな違いがあります。プリエンプティブル VM は、いつシャットダウンされるかもしれないのです。ずいぶん乱暴な話に聞こえるかもしれませんが、1 つのインスタンスを継続的に使える状態にしておく必要のない、分散的でフォールト トレラントなワークロードでは、この特徴が大きくものを言います。無期限のアップタイムの保証を捨てれば、通常のインスタンスよりも大幅に料金が安くなるのです。プリエンプティブル VM の価格は固定です。変化する市場価格のもとで賭けに出るリスクを負わずに、いつでも低コストが保証され、必要コストが予測できます。使い始めた最初の瞬間からコスト節減効果が上がります。価格は、コア時間あたりわずか 0.01 ドルです。
一部のお客様は、すでにプリエンプティブル VM でコスト削減を実現しています。
- Citadel 社は、クラウドソリューションの一部としてプリエンプティブル VM を使っています。同社 CIO の Joe Squeri 氏は、次のように述べています。「これは最高の効率、イノベーション、達成だ。私たちはクラウドのリソース消費が大きいので、地域によって変わる価格体系をうまく使いこなすという複雑でわかりにくい作業をせずに、魅力的な価格で使える Google Cloud Platform のプリエンプティブル VM を歓迎している」
- ディープラーニング AI の Descartes Labs 社は衛星画像の解釈に力を入れており、最近では約 3 万の CPU を使って、わずか 16 時間で 1 ペタバイトの NASA の画像を処理するという大規模な実験を成功させています。同社 CEO で共同創設者の Mark Johnson 氏は、次のように述べています。「シード ファンドで成り立っている私たちのようなスタートアップ企業からすると、大幅なコストダウンを実現できるプリエンプティブル VM の価格モデルは画期的だ。全世界の作物の作況を確認、判定するための処理データが増えているだけに、将来もこのサービスを使い続けられるのはとてもすばらしい」
- Google 自身の Chrome セキュリティチームは、数千の仮想マシンで実行されている Chrome 最新コードに対し、Clusterfuzz ツールを使ってノンストップの無作為なセキュリティテストを実行しています。計算能力を上げれば、セキュリティ バグを今までよりも早く見つけ早く修正できるようになります。プリエンプティブル VM の導入により、同チームはコストを半減させつつ、2 倍の規模でテストできるようになりました。
Google のデータセンターでは、さまざまな理由により予備リソースを維持していますが、プリエンプティブル VM はこの予備能力を活用します。Google のデータセンター利用率を最適化するために必要になったときには、Google が能力を回収できるようになっています。その代わり、Google はこの種の仮想マシンを大幅に値引きして提供します。ただし、プリエンプティブル VM の実行時間は 24 時間に制限され、それよりも早くプリエンプション(シャットダウン)される場合もあります。しかし、この制限を除けば、高速で簡単なプロビジョニング、一貫して高いパフォーマンス、永続ディスクに書き込まれるデータの常時暗号化など、Google Compute Engine のすべての機能が手に入ります。
プリエンプティブル VM は、今ある Google のツールを使って作ることができます。Google Developer Console で 1 つのボックスにチェックをいれるか、gcloud コマンドラインに “--preemptible” を追加するかです。プリエンプティブル VM が強制終了されるときには、30 秒前に通知が届くので、その時間を使ってクリーンにシャットダウンすることができます(保存も含みます)。
Hadoop on Google Compute Engine を使っているお客様には、さらに簡単な方法があります。オープンソースの bdutil ツールを使えば、Connector for Hadoop を介して Google Cloud Storage から直接データを取ってくる Hadoop クラスタを作れますが、bdutil はプリエンプティブル VM をミックスインできるようになりました。 “--preemptible .25” を追加すれば、クラスタの 25 %をプリエンプティブル VM として実行することができます(割合は自由に設定できます)。
プリエンプティブル VM の詳細な使い方についてはドキュメントを参照してください。価格体系の詳細については、Compute Engine 価格ページを参照してください(価格計算機ツールとクラウドプロバイダー間の本当の価格比較の詳細も同じページにあります)。疑問、フィードバックなどがある場合には、getting help page をご利用ください。
プリエンプティブル VM は、Google Cloud Engine から最大限の価値を引き出すために間違いなく役立ちます。これを使ってすばらしい新アプリケーションを作られたら、是非お話をお聞かせください。
-Posted by Paul Nash, Senior Product Manager