翁長沖縄知事:「絶対に造らせない」渡米で辺野古中止要求

毎日新聞 2015年05月20日 22時05分(最終更新 05月20日 22時27分)

日本記者クラブで思いを語る翁長雄志沖縄県知事=東京都千代田区で2015年5月20日午前11時13分、梅村直承撮影
日本記者クラブで思いを語る翁長雄志沖縄県知事=東京都千代田区で2015年5月20日午前11時13分、梅村直承撮影

 沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は20日、東京都内の日本記者クラブと日本外国特派員協会で相次いで記者会見し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題について「政府は工事を中断して沖縄と話し合いをしてほしい」と求めた。27日から予定している訪米に関しては「(辺野古移設を確認した)日米首脳会談などがあったさなかで大変厳しいと感じているが、『絶対に造らせない』と米国に伝えたい」と述べ、辺野古移設中止を米側に直接求める考えを示した。

 翁長氏は日本外国特派員協会での会見で、戦後、日本が経済成長を進める一方で沖縄が米軍による分離統治下に置かれた経緯に触れ、今なお沖縄に基地負担が集中する現状を説明。その上で「私は自由民主党の出身だから日米安保の大切さはよく分かるが、それと辺野古の新基地建設を認めることは全く違う。将来の子や孫のために沖縄がどうあるべきかを一番に考えるのが私の仕事だ」と述べ、基地負担や安全保障問題を日本全体で考えるべきだと強調した。

 政府が辺野古移設を進める根拠とする仲井真弘多前知事による埋め立て承認に関しては「知事の権限など法的な措置もいろいろある」と指摘。撤回や取り消しを含めて検討していく方針を示した。

 翁長氏の発言に対し、菅義偉官房長官は20日の記者会見で「(辺野古移設は)日米同盟の抑止力の維持とそして普天間の危険除去、固定化をさける意味で、唯一の解決策だ。できる限り地元に説明し、理解を求めながら進めていきたい」と改めて説明した。【当山幸都】

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 国内外の記者たちを前に20日に改めて「辺野古ノー」を訴えた翁長知事は米政府に直接、沖縄の民意を伝えるため、27日に訪米する。沖縄が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設阻止の熱気に包まれる中、本土でも沖縄の米軍基地問題に対する関心が高まり始めている。

 沖縄では17日に約3万5000人が参加する県民大会があり、日米両政府に対して移設断念を求める決議が採択された。福岡市博多区の田中敏裕さん(75)は「沖縄の人たちは国の取り組みを命がけで阻止しようとしている。日本全体の問題として考えるべきだと思う」と話し、大分市の大学3年、阿部宙紀(ひろき)さん(21)は「沖縄のニュースを聞き、米軍基地問題を自分のこととして考えるようになった」と語る。

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