東京電力は20日、福島第1原子力発電所事故で、2号機原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」と呼ぶ排気操作が失敗したことを示すデータを確認したと発表した。2号機は大量の放射性物質を放出しており、東電は放射性物質をある程度取り除いてから排気するベントが失敗したと推定していた。このことが裏づけられたという。
福島第1原発事故に関する未解明の事象について確認していた作業でわかった。2号機は2011年3月11日の事故発生から3日間は原子炉への注水を維持できたが、注水が止まった後に炉心損傷した。同15日には、格納容器から大量の放射性物質を放出する事態に発展した。
東電は同14日、圧力上昇による格納容器の破損を防ぐためベントを試みたが、うまくいかなかった。ベントによって蒸気などが通るはずだった配管を昨年10月に調べたところ、閉止板(ラプチャーディスク)と呼ぶ装置の周辺に放射性物質による目立った汚染は見つからず、操作が失敗したことが裏づけられたという。閉止板は一定の圧力になると自動的に破れて、内部の圧力を下げる仕組みになっていた。
ベントが難航した結果、2号機では格納容器が破損し、放射性物質を含む気体がそのまま漏洩したとみられる。1、3号機ではベントに成功している。今後、失敗の原因や放射性物質の大量放出の経緯についても詳細を調べる方針だ。
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