2007年、今からもう7年前ですが、講談社の月刊少年シリウスにて、木原浩勝さんの原作で描いた怪談読み切りの2本「木守り」「怪談会」を収録した本が、今月18日にホーム社から出ました。木原浩勝さんのデビュー25周年記念企画の一環という事で、他にも関連書籍がまとめて出版されているようです。

http://www.homesha.jp/e/p.php?tag=pc/sp/announce_detail&i=978-4-8342-3217-2&m=kaisouroku

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伊藤潤二さんや中山昌亮さんなど、怪談の名手に並んで収録されているのが恐縮しきりです。
ですが、こういう機会でもないと、単行本にまとめにくい単発の読み切り作品はお目にかける事もないと思うのでありがたい話でした。講談社の月刊少年シリウスにはもう担当編集さんもいませんし、窓口もないので陽の目を見ることはもうないだろうと思っていた作品です。


7年前を思い返すと、話はその少し前にさかのぼります。

木静謙二として成年コミック誌でデビューした時からお世話になっていた担当編集さんは、いわゆる編集プロダクション所属の編集者で、当時は辰巳出版のペンギンクラブ・山賊版、コミック桃姫、メディアックスのファンタジーライズ、コミックPOTなどの編集をされていました。要は僕が執筆の場を転々とした雑誌遍歴は、担当編集者が編集を受け持った雑誌の変遷でもあります。

その編集プロダクション内の人事移動があって、その担当さんが講談社の月刊少年シリウス編集部に出向することになったのが、8年~9年前か……おぼろげですが大体それぐらいの頃。月刊少年シリウスの立ち上げが2005年なので。
その担当さんとはデビューから初単行本「今夜、とにかく陵辱が見たい。」二冊目「かてきょ」と、長く組んでいた事もあって、成年誌(メディアックスのコミックPOT)の方は別の編集者に引き継ぎつつ、月刊少年シリウスの方では改めて担当に付くという事になって。

月刊少年シリウスでの新人コンペに企画を出してみたり、担当が持ち込む企画に設定やネームを描き下ろしてみたり、手探りに悩んだ停滞時期がしばらくありました。

その頃、それぞれ違う出版社に担当がいる、並列の状況に慣れない事もありましたし、八方美人なクセに変に義理堅い所が難になって、成年誌の方も一般誌の方も上手く回らない、苦しい時期だったのを思い出します。
結果的には月刊少年シリウスでは、編集者企画として持ち込まれた怪談モノを3本描いたっきりでした。

その内の2本が、今回出版された木原浩勝さん原作の「木守り」「怪談会」です。
苦しい時期ではありましたが、木原さんの原作のおかげで、こうして少なくともこの2本は月刊少年シリウス誌上で世に出す事ができたわけですし、今振り返ると、その苦しい時期に学んだことはとても多かったので、この機会に改めて、深く感謝しています。ありがとうございました。
(余談ですがもう1本は平山夢明さん原作でした。その頃、怪談漫画ブームというか、木原浩勝さんの「新耳袋」を始め、中山昌亮さんの「不安の種」シリーズなども話題になっていた頃だったので、各誌、怪談物に食指をのばしてた印象があります。)