また、主な外部リスクとして、日本の円安が韓国の輸出産業に与えるインパクトを挙げた。
IMFはさらに、輸出に依存する形で成長をしようとする韓国の経済構造の限界を指摘、非貿易やサービス分野の強化や中小企業の支援が重要であると提言した。
そして締めくくりに盛り込まれたのが為替問題だ。ウォンが実態より安く見えることに言及、柔軟な為替レートを維持することが不可欠だとした。さらに、為替介入は過度の為替レートの変動への対応に限定されるべきで、必要な為替レートの調整を妨害してはならないと強調したのだ。
韓国当局の為替介入をめぐっては、米財務省が報告書で、ウォン高を阻止するための大規模な介入を実施し、しかも公式な報告を行っていないと猛批判した経緯がある。米財務省に続いてIMFも朴政権での為替介入にクギを刺した形だ。
こうした批判を浴びながらも、朴政権は露骨にウォン高阻止を叫んでいる。聯合ニュースによると、朴大統領は12日、閣議の場で「円安など国内外のリスク要因に適切に対応するように」と指示したという。
これに歩調を合わせるように、対ドル、対円ともに急速なウォン高が一服する現象が起きている。外貨準備が急激に増えていることからみて、当局の介入が再び行われた可能性が高いという。
韓国経済の低迷は鮮明で、輸出、輸入ともに減少が続いている。統計庁が発表した4月の青年の失業率は10・2%で、1999年以来の高水準を記録した。
また、1〜4月の間に海外に輸出された韓国車は前年同期比6・6%減少してしまった。
韓国の為替介入が米国などの怒りを買い、経済の低迷を招いている背景の一つについて、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、朴外交の失策があるとみる。
「韓国は外交的に中国側に身を寄せ、反日運動を展開してきた。そうしたなか、日米の親密化が進んだことで、中国経済への牽制(けんせい)が韓国経済にも波及しかねない。中国経済が急降下するなか、韓国にとって日米同盟の強化は、致命傷となる公算が大きくなった。中国と米国との“二股外交”が、手痛いしっぺ返しを受けたといえる」