N は normal という記号で規定度を表わしますが,これは溶液を何に使うかが明示されない限り,本来は定義できません.
ただ,水酸化ナトリウムの濃度が問題になるときは,通常は酸塩基反応しかないわけで,そのような暗黙の前提で,水酸化ナトリウムの塩基としての意味を考えるわけです.
酸塩基の 1N というのは,H+ の供給あるいは消費能力として 1 mol/L である,という意味です.したがって,水酸化ナトリウムの 1N は 1 mol/L と等価です.
一方,たとえば硫酸は 1 mol/L だと 2 mol/L 分の H+ 供給能力があるので,1 mol/L は 2N になり,逆にいうと 1N = 0.5 mol/L になります.
ちなみに,酸化還元においては電子 1 mol の授受をもって N を定義します.いいかえると同じ物質の同じモル濃度の溶液(つまり同一の溶液)であっても,どちらに使われるかで規定度の値が変わる可能性をはらみます.
なので,たとえば,NaCl の 1N というのは(ときどき見かけますが),まるで意味がありません.
一方,Na2S2O3 だと,これはきっと還元剤だろうという常識的判断から,規定度が表示されることはよくあります.