恐怖政治で持ちこたえる金正恩独裁体制

恐怖政治で持ちこたえる金正恩独裁体制

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が2013年に叔母の夫に当たる張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑したのに続き、今度は自身が重用してきた党、政府、軍の新進幹部の大規模粛清を進めていることが13日までに分かった。就任当初に自身と権力を分かち合っていた人物をじわじわと切り捨て、単独独裁体制を目指す恐怖政治を本格化させているとみられる。 

 韓国国家情報院は13日、金正恩氏が北朝鮮の軍ナンバー2の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル、大将)人民武力部長(66、国防相に相当)を先月30日に粛清したことを明らかにした。同院は国会情報委員会に対し、玄氏は数百人の軍幹部が見守る中、平壌郊外の順安区域にある姜健(カン・ゴン)綜合軍官学校の射撃場で高射砲(対空機関銃)で銃殺された可能性があると報告した。

 玄氏は金正恩氏が政権を掌握して以降、一時大将の上の階級の次帥にまで昇進し、総参謀長、人民武力部長を務めた軍の実力者だ。国家情報院は粛清の理由について、▲私的な席で金正恩氏に対する不満をあらわにしたことが摘発された▲金正恩氏の軍に関する指示をたびたび履行しなかった▲先月24-25日に行われた軍訓練作業員大会で、金正恩氏の演説中に居眠りしているのが目撃された――などの点を挙げた。

 国家情報院によると、このほか最近半年で、馬元春(マ・ウォンチュン)国防委員会設計局長(中将)、辺仁善(ピョン・インソン)軍総参謀部作戦局長(大将)、ハン・グァンサン労働党財政経理部長ら一時金正恩氏の最側近とされた人物が次々と粛清されたという。

 同院関係者は「2012年4月に金正恩氏が政権を掌握して以降、約70人の幹部が銃殺された。重要幹部に対する金正恩氏の不信感が高まり、手続きを無視して粛清を行うなど、恐怖政治をエスカレートさせている」と述べた。ただ、同院はそれでも金正恩氏の支配体制は強固だと判断している。北朝鮮の指導層に金正恩流の恐怖政治に対する「怒り」よりも「恐怖」が先行している格好だ。同院はこうした情報を今月12日に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が開いた外交安保閣僚会議で事前報告した。

 玄氏の粛清を金正恩氏のロシア訪問が実現しなかったことと関連づける見方もある。玄氏は先月、ロシアを訪れ、セルゲイ・ショイグ国防相と会談するなど、金正恩氏のロシア訪問の調整に当たっていたとされる。

黄大振(ファン・デジン)記者
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