年間追加被ばく線量 国推定値の3分の1
南相馬市立総合病院の坪倉正治医師らは、市内の小、中、高校生520人の個人線量計で計測した年間の追加被ばく線量の平均が、国の推定値の3分の1だったと発表した。推定値の計算は、屋外の滞在時間が実際より多く見積もられることなどが要因とみている。
調査は、2012年9〜11月の3カ月間、バッジ式の個人線量計の実測を基に事故後18〜30カ月の年間追加被ばく線量を算出。自宅前の空間線量から国の推定式に基づく推定値と比較した。その結果、実測値平均が年間0.8ミリシーベルトに対し、推定値は3倍の2.4ミリシーベルトだった。国の推定式は、被ばく量が多い屋外の滞在時間を8時間と想定したが、実際の生活では4時間以内が平日で97%、休日でも85%と短かった。
屋内滞在時の建物の遮蔽(しゃへい)による放射線の減衰効果は、推定式で一律40%減の設定だが、実際は平均で70%減だった。
人体が受ける実効線量は空間線量に比べて低くなることが推定式に反映されず、推定値を高くしていると分析した。
坪倉医師は「複数の要因で、推定値が実測より大幅に高くなったと思われる」と指摘。現行の推定式で年間1ミリシーベルトの追加被ばくに相当するとされる毎時0.23マイクロシーベルトの空間線量を超える場所でも、年間1ミリシーベルトに達しないケースがあるとしている。
2015年01月29日木曜日