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子どもがタブレット端末などで学ぶ「デジタル教科書」。 そのあり方の検…
子どもがタブレット端末などで学ぶ「デジタル教科書」。
そのあり方の検討を、文部科学省が始めた。有識者会議で来年中に結論を出す。
教科書は中心となる教材で、誰もが使うものだ。それを変えることは授業、教員、教育全体を変えることにつながる。
多角的で幅広い議論がなされることを期待する。
デジタル教科書は画面でページをめくる。「紙」の教科書と違い、文字や図形だけでなく音声や動画も載せられる。
例えば英語の発音が聞け、算数で図形を動かせる。理科の実験映像も見ることができる。
授業の方法も膨らむ。ネットワークでつなげば、全員の答えを電子黒板に映し共有できる。これまでは授業で教えてきた内容を家で映像を見て予習し、教室では議論に時間をかける「反転授業」もやりやすくなる。
教師が教え込む授業から、児童生徒が自ら学ぶ授業へ。その改革の後押しにもなる。
一方で、実現するには課題も多い。一つひとつ洗い出し、丁寧に議論したい。
デジタルの光だけでなく影を見つめ、それを最小限にする姿勢が必要だ。視力への影響やデジタル依存などのデータを集めてほしい。有害情報にアクセスできない仕組みは欠かせない。
デジタル教科書はあくまでも手段に過ぎない。大切なのはどんな授業を目指すのかである。
鉛筆を使い、ノートに写すなど手を動かす機会を減らしてはならない。デジタルか紙かではなく、それぞれの良さを生かした使い方を工夫したい。
教員も指導力を高めなければならない。養成や研修から見直す必要が出てくるだろう。
目の前のハードルとなるのは、紙の教科書を前提にした検定、採択、供給の制度である。
いまの教科書の中身をタブレットに入れるだけでは意味がない。ただ、音声や動画まで含めるなら、膨大な情報を国がどう検定するかを検討しなければならない。これを機に時代に即した柔軟な検定制度を考えたい。
義務教育の場合、今の教科書のように無償で配るのか、著作物を使う場合、権利を持つ人への支払いをどうするのかといった検討も必要になる。
導入には端末やネットワーク環境の整備が条件だ。高額のコストを、いったい誰が負担するのかも問題になる。現状では自治体や学校、家庭で格差が大きい。国の支援が求められよう。
情報化のうねりは加速している。子どもたちが生きる次の時代を見すえた議論を進めたい。
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