早速ですがこちらはどこかわかりますか?
東京にお住まいの社畜の方々はぴんとくると思いますが、ここは東京の有名ナンパスポットの一つ、JR新橋駅から徒歩5分くらいにある通り、コリドー街と呼ばれているところです。
今日はこのコリドー街で実益を伴う、とある仮説を検証しようと思います。
その仮説がこちら。
「子供にも大人にも大人気のミッフィー。
ミッフィーの絵本に出てくる色の洋服をOLが着たら、サラリーマンたちからいっぱいナンパされるのではないか」
これを友人に話したら「クレイジーだね」と言われました。
諸々あるツッコミどころは置いておいて、まずは何故ミッフィー?という疑問にお答えしたいと思います。
≪ミッフィーとは? 作者は誰?≫
ミッフィーはオランダで生まれた、日本でも人気のうさぎのキャラクター。
デザイナーのディック・ブルーナが、野ウサギに興味を持った幼い息子に聞かせるために即興で作ったお話が元となり、絵本として出版されたのが始まり。
ミッフィーを初め、たくさんの絵本を生み出したブルーナですが、元々は彼の父親が経営する出版社の社員で、小説の表紙デザインや宣伝用ポスターのデザインを手掛けていました。
どうやらずっと画家になりたくふらふらしていたのですが、父親との跡継ぎに関するガチンコファイトや、愛する奥様と結婚するためにお義父さんに「とりあえず就職しろ」と言われたことなどもあり、商業デザイナーになったとのこと。
キャラクターの名前は知らないけど見たことがある絵本たち
≪ブルーナのデザイン≫
実はブルーナが最初に絵本を作った理由は、彼が画家としての夢を諦めきれなかったことにあります。
彼は商業デザインとは異なる新しいデザインのスタイルに挑戦しようとし、「一枚一枚、どれをとっても壁に掛けておきたくなる、シンプルな線と色で描いた絵」を目指して描き、絵本にしました。
「ミッフィーからの贈り物 ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ」ディック・ブルーナ 2015年 講談社文庫より
当時、ブルーナが新しいスタイルの絵を描くために作ったルールはこちら。
・(描くキャラクターなどの)形はあくまでもシンプルであること。
・余白を生かしたデザインであること。
・使う色は赤、青、黄、緑と枠線の黒。
ここで後にブルーナ・カラーと言われるものが生まれていたのです。
※先ほど冒頭でミッフィーのカラーと書きましたが、正しくはブルーナ・カラーです。
いきなりおじいちゃんの名前を出しても分からないだろうということでミッフィーのカラーと最初に書きました。今後はブルーナ・カラーで統一します。
1955年出版された「ちいさなうさこちゃん」第一版。最初のミッフィーです。全然違う!!
彼の画家としてのプライドから生まれた絵本ですが、それを評価する大人たちには全く受けませんでした。
しかし実際の読み手である小さな子供たちの多くに手にとってもらえるという、思いがけないカウンターパンチを食らい、その後彼の中で新しい思いが生まれます。
≪突き詰めたシンプルさは子供たちのために≫
子供たちの素直な反応を見たブルーナは絵本を「子供たちのために」作るようになり、シンプルなデザインを更に突き詰めました。
彼は描く線を最小限に留めて、その描くものの本質を表現することに常に悩んでいたのです。
そして絵から伝える情報を必要最低限に抑えることで、読み手の子供たちの好奇心を掻き立てたのです。
例えば「走る」というシーンを見てみましょう。
通常、人やものが「走る」場面を描くとき、その速さを線で表現します。
「スラムダンク」山王戦 名試合すぎる
走っているときの速さが増すと、それに比例して線の量も増えます。
まさかの三本線!
この表現だと車が走っていることは伝わりますが、これを見た人々に「どのくらいのスピードで車が走っているか」を聞いたら、おそらくバラバラの答えが返ってくると思います。
このように表現を抑えることで、車のスピードはもしくはどのように走っているかは子供たちの想像に委ねられたのです。
ただ、この三本線さえも1999年になると描かれなくなってしまったため、ブルーナの「シンプルに描く」ことへの追求はすさまじかったと思います。
≪もう一つの突き詰めたシンプルさ:ブルーナ・カラー≫
こちらの6色:左上から時計周りに赤、黄、緑、灰、茶、青(+黒)がブルーナ・カラーといわれているものですが、ブルーナの絵本はこちらの色しか使用されていません。
なんかちょっと原色と色味が違いますよね?
これを原色と比較してみるとこんな感じ。(上が原色、下がブルーナ・カラー)
ブルーナ・カラーの赤、青、灰は若干黄色が混じったような色で、黄、緑、茶は色味が濃くなっていることが分かります。
実はブルーナ・カラーは人に「温かい」と感じさせる暖色(赤、黄色など)が混ぜてあります。
そのために反対の「冷たい」と感じさせる寒色(青、緑)を見ても色から人間的な冷たさをそこまで感じなくなります。だからミッフィーの絵本を見ると心が温まるんですね!
ブルーナ・カラーで一番注目してほしいのは背景への使われ方。
先ほどブルーナの描き方のルールで「余白を活かす」とありましたが、彼は背景を描かず、塗りつぶすことでミッフィーたちの気分を読み手に伝えました。
そしてその「気分」は、色彩心理学による人が読み取る色の意味合いとほぼ合致します。
ブルーナ・カラーから読み取れる気分はこちら。
赤:幸せ、喜び =家族と一緒にいるときに使われます
黄:明るさ、安心 =お出かけや何かに挑戦するときに使われます
青:寒さ、怖さ、静けさ =夜や冬の景色、また悲しいシーンで使われます
緑:安らぎ、自然、外 =お出かけ、家族と一緒にいるときに使われます
(茶、灰色は新しいキャラクター:犬と象を描くために追加した色)
でも大人でも上の意味を見て「なるほどね」と思うだけなのに、子供はそんなのに敏感に読み取ることができるの?と。
いやいや、子供を侮ることなかれ。
実は赤ちゃんでも大人と同じように色を見ることはできます。
年齢別に色への理解度をまとめるとこんな感じ。
意外と色って区別するのに時間がかかるんですね。
この表を見てみると、ミッフィーのブルーナ・カラーは0歳からもう認識でき、3歳になるともう色から気分を読み取れることがわかります。
ということは3つ子の魂百まで、ではないですが。
幼い頃ミッフィーと遊んだ大人に、ブルーナ・カラーを見せたら懐かしさと一緒に、その当時感じたミッフィーたちとの楽しい気分が蘇るんじゃないかと。
もっと言えば、人生に疲れた独身サラリーマンにブルーナ・カラーで、幼い頃に感じたママンの優しさと安心感を思い出させれば、彼らの心が緩んで声をかけてもらえるのではないかと。
そしてあわよくば安心感からくる疑似家族フィルターを彼らの脳内に張り巡らせて、同じように人生に疲れた独身OLを二代目ママン、ないし良き嫁候補にしか見えなくさせるトラップを仕掛ける一方、彼らを癒すことができるのではないかと。
≪サラリーマン補完計画 開始≫
ミッション:ブルーナ・カラーの洋服を着て、新橋のサラリーマンにどれくらい声をかけられるか検証すべし。そしてできれば癒すべし。
5月某日
20:30 友人と待ち合わせ
以前コリドー街で友人♀が飲んでいたら、サラリーマンたちが入れ食い気味に誘ってきて、断るのが大変だったと。
入れ食い・・・!なんて良い響きだ。
ちなみに事前にコリドー街での「ナンパされ」テクニックを調べたところ
・スキ丸出しのほろ酔い気分で歩く
・男性がつっこめるアイテムを身に着けていく
・目線はきょろきょろして笑顔を忘れずに。
とのこと。
ということで、ツッコミ用アイテム:ミッフィーの人形も強制的に友人のバッグに取り付けました。
まじアラサーのぬいぐるみほどイタイものはないと思います。
なんか変な汗がじわっと出てきました。
彼女は赤(オレンジ)を着用。私は敢えての黄色。
黒づくめのサラリーマンが多い中、原色の2人が目立つ目立つ。
コリドー街着。
だが、様子がおかしい。
全然人がいない。
なんでーーーー ノー残業デイが多い水曜日を狙ってきたのに!!!
いたとしてもカップル、じいさま、女のみの軍団。
独身サラリーマンは巨人に食べられたのかなって思うくらいいなかった。
「あ、前回来たときそういえば金曜日だったわ。終電間際だったし」
友人の言葉にぽきりと心が折れ
まあお店入ってお酒飲むよね。
ちなみにこちらは「ワンナイト目的の火照った女性たちが集う」ことで有名なバー?らしく、それを目的にくる男性客も多いとのこと。
ただこの時点でもうミッフィーだのなんだの言ってる場合じゃなくなり、女としての資質がそもそもどうなのかという問題に直面していた。
だってそんな噂を聞いたら、入店した瞬間に「うぇ~~~い」って殿方がくると思うじゃないですか。殿方はいるにはいるが、皆こっちを向きやしねぇ。こっちは旬ギリギリで死ぬか生きるかのデスマッチを繰り広げてんだ。熟れた果実の匂いはあまーいぞ。
ということでしばらく近くのグループ席で盛り上がる合コン席を横目で見て「男のほうイケメン揃いだったけど、あれは坊やだ」とババア発言をしたり、「好きな男のためだったら臓器提供できる」という友人のメンヘラな意気込みを聞いたりしていたら。
21:50 隣席に殿方2名が座る。友人と2人、戦闘態勢に入る。
21:55 隣席の殿方に「きて」というアイコンタクトを送る。
21:56 死角から別の男性客に声をかけられる。隣席の殿方と私、予想外の展開にキョドる。
22:00なんだかんだでキックオフ。
ちなみに声をかけてくれたのは、バカリズムに似た銀行員と、同い年の銀行員、特に思い出せない不動産営業の方の3人グループ。
検証についてですが、バカリズムが「なんでミッフィーつけてるの?」とか聞いてくれたので、一応男性がミッフィーに惹かれたということにしよう。そうしよう。
何故かマジックショーが始まった店内。
そしてナンパしてきた男性にナンパの極意を聞くというタブーを犯してみました。
Q: よくこちらには来られるんですか?
※火照りスポットとは知らないていで聞いています。
A: たまにかな? 職場も近いし・・・実は前にこのお店で知り合った子と付き合ったこともあったんだよね。
Q: (持ち帰ったんだろうな)え、じゃぁよく女の子に声かけるんですか?
A: そんなことはないよ!声かけるのとかはこわくてできなくて、今日も会社の先輩に頼っちゃったよ。
Q: (あ、なんかアピールしてきたな)そうなんですねーでもどういう女の子のほうが声かけやすいんでしょうね?(敢えて一回無視しよう)
A: いや、先輩にいつも頼ってるからわかんないなー笑
ていうか、いっぱいナンパとかされるでしょー?知らない女の子に声かける男のほうも大変だけど、声かけられてそれを躱さなきゃいけない女の子も大変だよね笑
この言葉で私の目が曇りすぎていたことがわかり、質問を強制終了しました。
そうですよね、今回は受け身の検証でしたが、大体男はハンター、女は小鹿ちゃんのポジション。
小鹿ちゃんも身なりをきちんとしないとハントされないけど、結局は受け身で、ハントされたときは断ることができる立場にある。
ただハンターとなると身なりをきちんとするなんてことは基本で、小鹿ちゃんを楽しくさせるトークスキルや、下手したら資金も用意しないといけない。
一番いけないのは小鹿ちゃんがいつまでたっても、そのポジションと期待される行動が不変と勘違いしていること。
小鹿ちゃんに「ハンターできる?」って聞いたら「ぜったいムリーーwww」って返ってくるでしょう。それを相手に期待しているのは自分たちなのに。
男女の欲望が渦巻くナンパスポットではグッドハンターとして期待される側はつらいのに、ただキャッキャ軽やかに歩いていればいいだけの小鹿ちゃんの気持ちを思いやってくれるなんて。
私、火照りスポットにいる人って皆小鹿ちゃんを食い散らかすオオカミだけだと思っていました!ごめんなさい!
そしてこのお三方ですが、お酒もごはんも奢ってくれ、終電が近くなった我々をすぐに帰してくれるというグッドハンターぶり。本当にありがとうございました。
いやー検証できなかったけど、意外とコリドー街安心だし面白いねって友人と話していたら
一人の殿方が道の反対側から全速力で走ってきた。
「キレイなおねえさ~ん!一緒にのみませんか?!」
もしかしてうちらこの色(ブルーナ・カラー)着てるから目立ってましたか?
「オレンジと黄色は世界一美しいカラーDAYO!!!」
検証結果:ブルーナ・カラーの洋服を着れば色が美しいし目立つので、旬ギリギリのアラサーでも23:30以降のサラリーマンに声かけられる。
無事検証終了!!
いやーギリギリだった。途中何してるのかよくわかんなくなったし。ありがとうございました!
ちなみに弁護士さんでした。いざというとき頼れるぅ!!
今回の検証でサラリーマンの方々をブルーナ・カラーで癒せたかはわかりませんが笑
どうやら小さい子供たちは大人よりも色の影響を受けやすく、お父さん、お母さんもどうやら明るい色の洋服を着たほうが子供に安心感を与えるという研究もあるらしいです。
なので、子供といまいち仲が良くなれない人はブルーナ・カラーの洋服を着てみたら、小一時間で心の友状態になれると思いますので試してみてくださいね。
例え仲良くなれなくても訴えないでくださいね。
そういえば学生の頃、「秘密」という単語を「ミッフィーちゃん」という隠語を使って話していました。
用例)「結局今回の検証で何人の男性と連絡を取ってるの?」「それはミッフィーちゃんだよ」
それでは