■フルサロン、キス部屋…姿変える業態 海外遠征10万人も
韓国メディアが提示するデータでは、性売買特別法施行後も売買春は一向に減らず、逆に性風俗業の形態が多様化し、表面上は見えにくくなっているだけだと指摘される。
女性家族省が10年と13年の実態を比較した調査では、性売買に従事する女性は、4917人から5103人へと微増。売春街を訪れた男性も1日平均2万4000人から2万7000人と、1割以上増加したと推定されている。
清凉里やミアリテキサスのような売春街は、特別法施行前は全国に約70カ所あったものが、40カ所台に減った一方で、形を変えた性風俗業は、雨後の竹の子のように増えたともいわれる。
代表的なものが「ルームサロン」と呼ばれる高級個室クラブで、飲酒接待後に「二次」と称して女性をホテルに連れだし、売買春行為が行われる。好みの女性を選ぶ「マジックミラールーム」に加え、別の階にモーテルも備えた、一つのビルで売買春を完結させる「フルサロン」と呼ばれる業態も摘発されている。
「キス部屋」と称し、性的行為に及ぶ業種が現れたほか、インターネットを通じた“出会い”も増加しているという。
さらに、特別法施行後に増えたと指摘されるのが、日本や米国、中国、豪州など、海外に渡って売春を行う“遠征組”の女性たちだ。その数、10万人以上と推定され、海外での摘発例も、ここ数年で約4倍に増加しているという。
こうした現状から、法律による取り締まりが「健全な性風俗を守る上で有効か」をめぐる議論が絶えないというのだ。
「人類の歴史とともに歩んできた職業」ともいわれるだけに、売春をめぐる議論は尽きない。ただ、従事する女性たちがデモや裁判の場で堂々と権利を訴える光景は、日本では想像しにくく、文化の違いも浮き彫りにした。