ラーメンの鬼「最期のレシピ」にファン殺到!佐野実さん1周忌イベント
スポーツ報知 5月17日(日)21時23分配信
「ラーメンの鬼」の異名で知られ、昨年4月に亡くなったラーメン店「支那そばや」創業者・佐野実さん(享年63)が、病床で書きつづった「最期のレシピ」を元に作った「カニチャーハン」が17日、都内で行われた1周忌イベントで販売された。一日限定で、佐野さんの弟子・菊地智さん(46)が経営するラーメン店「支那そば孤高」(東京都杉並区)で行われた。午前11時の開店前には約50人が行列を作り、多くのファンが佐野さんを偲んだ。
【写真】佐野さんの弟子のHEY!たくちゃんも駆け付け、師匠のモノマネをしながら店を手伝った
昨年4月11日に佐野さんが亡くなる前に、病床で弟子のために震える手で書きつづった「カニチャーハンのレシピ」。1周忌を終えた今年4月、佐野さんの妻・しおりさん(54)は「最期まで弟子のことを考え続けていた佐野の想いを知ってほしい」と、1周忌イベントで具現化し販売することを決めた。
食材に人一倍こだわった佐野さん。カニチャーハンは、レシピ通りに北海道羅臼町産のタラバガニ、名古屋コーチン、九条ネギを使用した。「孤高」の醤油ラーメンとセットの1500円で販売された。
この日、午前11時の開店前に店頭には、“追悼の1皿”を求め、50人以上の行列ができた。佐野さんの弟子で、モノマネ芸人でもあるHEY!たくちゃん(33)も駆け付け、「おい、お前らチャーハン食えよ!」と得意の師匠のまねで爆笑を誘い、オープンした。午前7時から訪れ一番乗りした男性(44)は「普通のチャーハンは塩分を使って味を出しているが、佐野さんのチャーハンは食材だけで味を出している」と満足げに話した。
イベントが開かれた「孤高」店主の菊地さんは17年前、佐野さんの元で約3年修業した。チャーハンを本格的に作るのは初めてだったが、4月末から試行錯誤し「100点のチャーハン」を完成させた。「本当なら師匠と一緒に作りたかった。厨房で師匠の表情が頭に浮かびました」と涙ぐんだ。難しかったというチャーハンを炒める際の火加減や食材を入れるタイミング、鍋を返す回数などもうまくいった。「18日は師匠のお墓に報告に行き、チャーハンを供えたい」
しおりさんは、店頭の行列が午後になっても長く続く様子を見ながら、「お客さんが、佐野のことを忘れていなくてよかった」と安堵した。今後、カニチャーハンの単品販売を含めレギュラーメニュー化を検討するという。
「鬼」が遺したチャーハンは、優しい味だった。見た目はシンプルだが、食べてみると名古屋コーチンを使っているため、とても濃厚でコクがある。九条ネギの香りをしっかり残しつつ、タラバガニの風味もしっかり際立たせていた。
チャーハンの生命線は、パラパラ感と同時に「フワフワ感」だろう。菊地さんによると、米を炊く際の水加減と炒める際の火加減が重要。水が少しでも多いとべちゃべちゃになる。加熱しすぎると、卵が硬くなり、火が弱いと素材の風味がでない。鍋の温度を保ちながら、食材をタイミングよく入れないと卵のフワフワ感も出ないという。
これまで味わったことないような「フワフワ感」を堪能できた。天国の「鬼」も食せば、「うまいよ」と相好を崩すに違いない。
最終更新:5月17日(日)22時22分
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