空想科学研究所の書籍における近藤ゆたかの挿絵

登録日 :2015/01/16 (金) 14:19:37
更新日 : 2015/04/25 Sat 17:31:17
所要時間 :約 20 分で読めます




 本項目では、柳田理科雄氏による著作

  • 空想科学読本』シリーズ(メディアファクトリー)
  • 『空想非科学大全』(メディアファクトリー)
  • 『空想映画読本』シリーズ(扶桑社)
  • 『空想科学生活読本』(扶桑社)
  • 『空想お料理読本』(メディアファクトリー)

 に加え、盛田栄一の『空想法律読本』シリーズ(メディアファクトリー)に掲載された、近藤ゆたか氏のイラストに関して記述する。

 近藤ゆたか氏は1964年産まれのイラストレーターで、柳田氏とは宝島社の『怪獣VOW』時代からの友人である。
 なお、担当編集の近藤隆史と血縁関係はない。

 近藤の作画は曲線と直線の入り乱れた力強い画風であり、オマケに本人が早稲田大学理工学部出身なだけあって
 「縮尺のナオシが全くない」と柳田氏が驚嘆するほどの正確な作画を行うことで有名である。

 しかしながら、この近藤の挿絵、



とにかく似てない。



とにかく元ネタに似ていないのだ。



 2次元・3次元・CGを問わず、何をモデルに書いても だいたい同じ絵柄 になってしまうのである。
 具体例を挙げていけばキリが無いが、どいつもこいつも滅茶苦茶デフォルメの効いた絵柄になっており、
  服以外全部似てない なんてこともザラである。

 ネタバレをすると、『空想科学読本』は全く版権元に許可を取らずに執筆しているため、
 (原作の許可を得ている空想科学漫画読本シリーズや、ゴジラvs柳田理科雄などを除く)
 創作物や俳優などの顔をソックリに描くことが出来ないのである。

 事実、挿絵の説明や注釈欄には極力固有名詞が廃され、
 「水爆怪獣」や「未来のロボット」などと言った代名詞や二つ名でキャラクターが説明されている。
 そのため、原作に全然似ていない、全てを自分の色に塗り替える近藤の絵柄はこのシリーズに打ってつけなのだ。

 著者・柳田の暴走によるメチャクチャな結論に対しても、近藤は(たった1件の例外を除き)ほぼ忠実に再現するため、

「風に吹かれて飛んでいくカメ怪獣翼竜怪獣
「超絶デブの光の巨人
「長さ4㎞ので自動車切りに挑戦する剣豪と、その刀を支えてあげる髭面のガンマン、横で『大丈夫かよ』と心配するサル顔の怪盗

 などと言ったイマジネーション大爆発のイラストの数々は、
 柳田の文面は覚えていなくてもイラストだけは覚えている読者が続出するほどのインパクトを誇る。

 また、(シリーズ初期は特に)作品を流し見して文章を書くことが多い柳田に対し、近藤は極力資料と向き合って書いているため、
 柳田の文章内でのミスをイラストで修正していることもある。
 (例:『ウルトラQ』に登場したゴーガヤドカリ怪獣だと言い張る柳田に対し、イラストでちゃんと巻貝型に描くなど)。
 一方で、近藤からのツッコミを受けて柳田が研究内容を修正したり、認識を改めたりすることもあり、
 「この人の言うことだけは素直に聞こうと思っている」と柳田からの信頼も大きい様子。


 ちなみに一度だけ、ファンからの要望で可能な範囲で頑張ったイラストがある。
 「いつもはファンの方が気を悪くしないように、楽しい感じに描いているのですが……」とのこと。



 以下は近藤による挿絵に登場するキャラクターの紹介(名称は挿絵内の紹介準拠)。

























 ふー。捜せばほかにもあるが、もういい加減読者の皆様も飽きてきたころだろうとは思う。

 ここまでの記事を読んであなたが浮かべた笑いは、全て原作を尊重したうえで迷惑をかけまいとする近藤の優しさの表れなのである。
 彼がいなければ、空想科学読本シリーズは存続していなかったかもしれない。
 近藤ゆたかは、これからもきっと天衣無縫にその筆を走らせ続けることだろう。




 では最後に、とっておきのオチを用意してこの記事を締めくくらせていただく。















 誰がどう描いても原作と全く同じ姿になるため、目に黒線を引いてかろうじて乗り切った。
 この強引な手法は今なお語り草になっている。




柳田「追記修正を重ねれば、この記事は際限なく良くなる!」
ゴテンクス「柳田さん、もうこの記事に追記できるヤツなんていないぜ!」

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