大阪市で17日、市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、即日開票の結果、反対が賛成を上回ることが確実になった。都構想は否決され、廃案になる。構想を推進した橋下徹大阪市長(維新の党最高顧問)の求心力低下は避けられず、影響が野党再編の行方など中央政界にも及ぶのは確実だ。
橋下氏は住民投票の運動期間中、反対多数になれば「(今年12月の市長任期満了後に)政治家を引退する」と明言していた。投票結果を受けて橋下氏の進退が取り沙汰される可能性がある。
都構想は、新設の5特別区が医療・福祉や小中学校教育など身近なサービスの提供に特化し、インフラ整備など広域行政を大阪府に一元化する内容。各区に公選制の区長・区議を置き、府と特別区は「東京都と23特別区」と同様の関係になるとしていた。
橋下氏が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が、府市の二重行政の解消が必要だとして提唱した。
一方、自民、公明、民主、共産各党の地方組織は移行コストが多額に上ることや住民サービスが低下する恐れがあることを理由に反対を訴えた。
投票の対象は大阪市内の有権者約210万人で、これまでの住民投票で最多だった。賛成多数の場合は、政令指定都市の大阪市が1956年の制度創設以来初めて廃止される予定だったため、投票結果は、大都市制度のあり方を巡る他地域での議論に一石を投じる可能性があるとして注目されていた。
橋下徹