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【政治】

安保法案  秘密法と表裏一体運用

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 政府が国会に提出した安全保障関連法案は、もし成立、施行された場合、特定秘密保護法と表裏一体で運用されることになる。安保法案と秘密保護法は「適用の要件があいまい」という共通点を持つ。根拠となる情報が国民に知らされないまま、自衛隊による海外での武力行使の道が開かれる恐れがある。(城島建治)

 集団的自衛権を行使できるようにする武力攻撃事態法改正案は、日本と密接な関係にある国が攻撃され「(日本の)存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合など、武力行使の新三要件が満たされた時、集団的自衛権を行使できると定めている。どのような事態が要件を満たすかについては、政府・与党の中でさえも意見が分かれていて、最終的には政府の判断に任される。

 昨年末に施行された秘密保護法は防衛、外交、スパイなどの防止、テロ活動防止の四分野で、情報の「漏えいが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある」などの要件を満たせば、政府が特定秘密に指定できる。しかし、どのような情報が「国の安全保障に著しい支障を与える」のかはっきりしない。集団的自衛権を行使できるようにする時と同じように、政府が思い通りに判断する余地を残す。

 集団的自衛権を行使するかどうかを決めるのは国家安全保障会議(日本版NSC)で、実質的には首相や官房長官らによる緊急事態大臣会合などで決める。

 NSCが分析、議論した内容について機密性が高いと判断すれば「特定秘密」に指定する仕組みだ。これまで開かれたNSCの「結論」はすべて特定秘密に指定されている。内閣官房国家安全保障局は「NSCの結論は原則、すべて特定秘密になる」と話す。

 集団的自衛権の行使を決断する時は、米国などから寄せられた情報を含め、より機密の高い情報を扱う。政府の原則通りなら、NSCの結論は特定秘密になる。そうなれば政府の判断が正しかったかどうか、事後検証するのさえ極めて難しくなる。

 

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