バクタプル=鈴木暁子
2015年5月17日00時07分
ネパール大地震で大きな被害を受けた世界遺産の被害状況を把握しようと、ユネスコと現地当局が調査を急いでいる。貴重な文化財の盗難被害などは今のところ確認されていないが、観光資源への影響は把握できていないのが実情だ。
仏英映画「リトル・ブッダ」の撮影地として知られるカトマンズ近郊の世界遺産バクタプル。地震で倒壊した石塔の前に「盗んではいけません」との注意書きがあった。盗難を防ぐため現地警察が掲示した。ユネスコ・ネパール事務所によると、文化財の盗難などの逮捕者は出ていないが、震災の被害が大きく、全容が把握しきれていない。
カトマンズ盆地に7カ所ある世界遺産は、ネパール観光の「顔」ともいえる。ネパール当局の担当者は「地震で世界遺産の90%が一部損壊もしくは壊滅した」と発言している。掘り起こす作業が難航している文化財もあるという。
ネパールの経済規模は約2・4兆円、その1割を観光業が生み出す。ホテルや飲食店を含むサービス業は国内総生産(GDP)の5割以上を占める主要産業だ。アジア開発銀行(ADB)の横山謙一ネパール事務所長は「多くのホテルが震災後1週間は稼働せず旅行客は止まった状態。影響は大きい」と話す。4・6%とみていた2015年7月期のネパールの経済成長率が、3・2~3・5%まで低下するとみている。(バクタプル=鈴木暁子)
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