掲載日 06年04月04日
 みんなで作ったリレー小説
  「ヒッキーヒロシ」はじまるよ!

もくじ前編中編後編



ロータの長い冬が終わり
爽やかな光が眩しい春がやってきたが 
オルドラン城のアイリーン女王の心はくすんでいた。 

「ついにこの時が来てしまったのですね…」

「司祭タケシよ、
 例の予言は本当に当たるのでしょうか?」
 
「わかりません…。
 しかしこの『よげんのしょ』によれば 
 『コレより3コマ後に現われし少年、
 大いなる災いから世界を救う勇者となるであろう』と
 確かに書いてありまする」
 
 
「3コマ後…、
 本当に3コマ後に少年が現われるのでしょうか…」
 
「全ては3コマ後にあきらかになるかと!」 

「あらヤダ?
 もうこんな時間ですわ!!」



女王はテレビをつけてNHK教育をかけた。


「これは中学生日記引きこもり編…って、
 何テレビみてるんですか!!」


「いいじゃないの!
 リアルな男子中学生を見るのが私の趣味なのよ!!」
「ねぇヒロシ…」
「なんだよ、またブルーか」
「明日こそ学校に来こうよ。
 毎日おうちに引きこもってマンガ読んだり
 テレビゲームばかりしてるの絶対良くないよ」

「ブルーには関係ないだろ」
「関係なくないよ!私達おとなり同士じゃない
 それに私、ヒロシといっしょの時が一番楽しかったし…」

「やれやれ、あいかわらず地味なドラマですなぁ…」
すると…

「ヨイショっと…」
「ギャーーー!!
 なんかホラー映画みたいにでてきたーーッ!?」


「3コマ後に出てきたッ!!
 コイツが世界を救う勇者だッ!!」
 

「やぁ、ボクはヒロシ。
 あんまりブルーの奴がうるさくてさ。
 ちょっとコッチの世界におジャマさせてもらうよ。
 キミもマンガ読むかい?」

「…じょ、女王様!
 実はこの『よげんの書』には続きがあります!」
 
「何ですって!?」 
「ハイ!えっと…、3コマ後に現れし勇者、
 伝説のポケモンをゲットすべし。
 さすれば大いなる災いから世界は救われるであろう…」


「伝説のポケモンとは一体…?」

3人は伝説のポケモンを想像してみた。

「やはり伝説といえばバンギラスだろう」 
「バーカ!!バンギラスは伝説じゃねーよ!!
 やっぱセレビィで決まりだろ!」
 
「セレビィは幻だろこのスカタン!!
 ラブカスこそが伝説に決まってるわよ!!」
 
「って、ラブカスなら近所の池にいますぞ!」

3人の意見は大いにくい違った。 

「仕方ありません。
 では全員の意見をまとめて、
 伝説のポケモン ラブカスを探しにいきましょう!!」


「強引にまとめやがった!?」 

「ねぇねぇ、ところでその
 大いなる災いってなんだい?」


「むむ、たしかに大いなる災いとは
 一体なんのことやら…」
 

?「キャーー!!」

三人が振り向くと、女の子がおどろいていた。

「あっ、キミ!どこから入ってきたんだ!」
「あら?アナタも確か中学生日記に...」
「ブルー!なんでついて来るんだよ!

「だってヒロシが私の話も聞かずに
 テレビの中に逃げるから…、
 それよりみんな!外を見てよ!」



 
 

窓から外を見ると、
巨大ゴクリンが城に接近していた。

「ゴクリ〜ン!」

「でかーーーーーッ!!!」 
「近ェーーーーーッ!!」 
大いなる災いは物理的に巨大な災いだった。


巨大ゴクリンは城を潰し始めた。
 
「ひぃいいい!私のお城がぁ!」
 
「いけない!
 とにかくここから脱出しないと!」
 

ヒロシ達は城を出たが、巨大ゴクリンはなおも接近してきた。

「みなさん!
 ここは私に任せてください!!」 
 ぷりり!!みんなを空に…」


しかし、
巨大ゴクリンはもう目の前まで来ていた。

「きゃああああ!」

巨大ゴクリンはあろう事か
女王を飲み込んでしまった。 
 
「何と言うことだ!早く女王様を!!」

「しょうがないなぁ…。
 いけ!ジッポーッ!!」
 


しかしモンスターボールから
出て来たのはクルーズだった。 



「あれ!?
 おかしいなぁ、ジッポを出そうとしたのに・・・。 
 まあいいや、クルーズ!
 地震だ!!」
 


「ゴクーーーッ!?」 

地震の衝撃で
女王は巨大ゴクリンから
脱出できた。 

「やったぜ!クルーズ!!」 

その時!
突然クルーズの身体が光り輝きだした。  

「え!?
 こ、これは・・・進化の光!?」
 
 
そして、光が収まると・・・。
クルーズはバンギラスに進化したのであった。 
 
「うおおおお!
力がみなぎって来るぜ――!!」

 


「ハッ!そのポケモンはもしや
 バンギラスではないか!」

「え?そうだけど」
「バンギラスはオレの中で
 伝説のポケモンなのだ!!」


「ええーっ!?
 ボクなんかが
 伝説のポケモンでいいんスかぁーッ!?」


「だいじょうぶ!クルーズは十分伝説っぽいから
 女王も納得してくれるだろうさ!」

「クルーズ君!
 うまく女王に思い込ませてくれ!!」
 
「は、はい!
 ボクがんばります!!」 
 
「女王様〜!
 伝説のポケモンがみつかりましたよ〜!」
 


「そんなモンが
 伝ポケなわけねーだろッ!!!」
 

「ぎゃああーーーー!!!
 クルーズーーーー!!!」

 
クルーズは宇宙の果へとんでいった。


「ヒロシくん!!
 巨大ゴクリンは私がくい止めるから、
 アナタ達は伝説ポケモン『ラブカス』のゲットを
 お願いね!!」
 

「・・・は・・・はい…」

このときヒロシは巨大ゴクリンよりも
女王の方がこわかったと後に証言した。 

「うおぉおおおおーーー!!!
  いくぞマネネーーー!!」




「めんどくさいけど、ボクらはラブカスを探そうか」 
「そうだな」 
「どうして誰もこの展開に突っ込まないのよっ!!」 
二人は命が惜しいからだった。 

三人は城の近くにある池へ向かった。

「ラブカスなら
 いつもこの池にいるハズですが…

「あ!アレを見て!」


「もしかしてラブカス!?」



しかしラブカスは池の中へかくれてしまった。

「にげたわー! 
 よ〜し、カメちゃん!!
 探してきてー!」



「やっほー♪
 ついにオイラの出番だよー。
 ん?あそこにいるのがラブカスだな?
 おーいキミ!ちょっと待ちたまえ!」
 


ガガガガガガガガガッ!! 


「ぐわぁあああああッ!!」

ラブカスが突進してきた。


「キャアァーーー!!
 カメちゃー−−ん!!」



ゼニガメがやられてしまった。 

「カメちゃん…」

「ハッ!みんな!アレを見ろ!」
 
「何かが池から出てくる…!」 

「まさかラブカス!?」 

「どぁー!!なんか出てきたー!!!」  

「ドホホホホ…、
 みなさん、はじめまして。
 ワタクシ、この池のぬしを
 勤めさせていただいております、
 マダム・ジュラと申します。以後お見知りおきを」
 

ラブカスに見えた物体は、
マダム・ジュラの水面に突き出したうわクチビルだった。  

「は、はぁ…。  そうだ、マダム・ジュラさん!
 私たちラブカスを探しているんですけど、
 ごぞんじありませんか?」
 

「あら?
 それって、この子の事じゃなくて?」
 

マダム・ジュラが帽子を脱ぐとラブカスがいた。 

「おおっ!!
 アレこそが伝説ポケモンラブカス!! 
 えーいマダム・ジュラさん!
 その娘さんをボクに下さーい!!!」
 

「偉いわヒロシ!
 いけいけヒロシ〜!」

 
「フフフ…いいでしょう。 
 わたくしの愛娘、
 アナタに差しあげても良くってよ。
 そのかわり…」
 

「やい!そこの細目ッ!! 
 キサマをわたくしの
 再婚相手とするッ!!!」
 

「な、なんだとぉーーーッ!!! 
 …って、アレーーー!? 
 いつのまにか足かせがーーー!?」



「はい、いいですよ」

ヒロシはあっさりOKした。 



こうして強制的に夫にされたタケシと 
マダム・ジュラの甘い新婚生活がはじまった。 

「あなた、お茶を入れてちょうだい!」 
「は、はい。ただいま…」
タケシはマダム・ジュラにさからえなかった。


「ふぅ…たいした犠牲も出さずに
 ラブカスをゲットできて良かった良かった」


ヒロシとブルーがラブカスを連れて城に戻ろうとしていると…



「ハァーハッハッハ!少年少女よ!
 愛をうたう勇者!アーロン参上!
 ラ〜ブカスよ!
 私の特性チョコレートが欲しければ
 私のもとに来るのだ!!」
 


「な、なにこのオッサン!?」

「私、甘いもの苦手」

「!!」


アーロンのチョコがくだけた。 
 

ヒロシたちはアーロンを無視して
オルドラン城へ戻ってきた。

「えっ!?
 もうラブカス捕まえてきたの?」
 
「ハイ。コイツでいいですよね?」

「ところで、このラブカスで
 いったいどう戦うのですか?」
 


「フフフ・・・
 こうするのよ!!」


女王は不敵な笑みを浮かべながら
ラブカスを巨大ゴクリンに投げつけた。

「おりゃーーーーーーッ!!!」
「ええーーー!?」



「緑のまんじゅうをけちらせーー!!」


ラブカスは巨大ゴクリンへと飛んでいった。 
そして…


「ゴクゥーーーーーッ!!!」 

「やったー!
 巨大ゴクリン撃破だっ!!」


「ウキャーーーーッ!!
 さすがは伝説のポケモン、ラブカスちゃん!!」
 
女王は狂ったように騒ぎました。

「ほ、ほんとに倒したの・・・?」

「あっ!でもなんか
 ゴクリンの様子が変だぞ!」



「ひょっとして…この光は…!?」

「うげェーッ!
 ゴクリンがマルノームに進化したぁ〜ッ!」

 


「ガァアアアアアア!!」
巨大マルノームが大声をあげると 
大地に亀裂が走り、岩石が宙に舞った。 


「マルノォーーム!」
巨大マルノームは地面に向かって
2匹の巨大ゴクリンを吐き出した。

「イヤーッ!!
 デカイのが増えたーッ!!」
 


?「ハーッハッハッハッ!!
 だからあの時、
 私にラブカスを渡していれば…」


「あ、アナタはあの時の!?」 
「ついに恐れていることがおきてしまった!!
 大いなる災いに伝説ではないポケモンが
 立ち向かいし時、災いは真のチカラを開放するだろう!! 
 この『しんよげんのしょ』に書かれていたとおりだ!!」
 
「しんよげんのしょだって!?」
「この、しんよげんのしょは
 先代の女王、リーン様がよげんのしょに
 ウッカリ書き忘れた災いに打ち勝つ
 具体的なハウツーがこと細かに記されているのだ!!」

「リーン様が!?」
「そう…。私はいつか訪れる災いから勇者達を導くため、
 この本とともに、数百年間現世にとどまっていたのだ」
 

ロータの街を破壊しているマルノーム達をよそに
ヒロシはしんよげんのしょを読み出した。

「なになに…?
 『災いから世界を救う伝説のポケモンは、ロータから北西、
 はるかなるれいほう に住んでいる。
 だが伝説のポケモンに会うには途中にであう
 三匹のポケモンからのあかしが必要である』…と。 
 ん?なんだろうこの羽?」

「この羽、とうめいね…」

「はるかなるれいほう、
 そこに伝説のポケモンがいるんだ!」


「とにかく、
 この場は私たちがなんとかおさえます!」
 
「予言に導かれし若者よ!
 伝説のポケモンを連れて来るのだ!」


「は、はい!」
「がんばります!」

二人は世界を救うため、
『はるかなるれいほう』への
長い旅に出た。


中編へ続くよ!



もくじ前編中編後編