
ロータの長い冬が終わり
爽やかな光が眩しい春がやってきたが
オルドラン城のアイリーン女王の心はくすんでいた。
「ついにこの時が来てしまったのですね…」 |

「司祭タケシよ、
例の予言は本当に当たるのでしょうか?」
「わかりません…。
しかしこの『よげんのしょ』によれば
『コレより3コマ後に現われし少年、
大いなる災いから世界を救う勇者となるであろう』と
確かに書いてありまする」
「3コマ後…、
本当に3コマ後に少年が現われるのでしょうか…」
「全ては3コマ後にあきらかになるかと!」 |

「あらヤダ?
もうこんな時間ですわ!!」
女王はテレビをつけてNHK教育をかけた。
「これは中学生日記引きこもり編…って、
何テレビみてるんですか!!」
「いいじゃないの!
リアルな男子中学生を見るのが私の趣味なのよ!!」 |
 「ねぇヒロシ…」
「なんだよ、またブルーか」
「明日こそ学校に来こうよ。
毎日おうちに引きこもってマンガ読んだり
テレビゲームばかりしてるの絶対良くないよ」
「ブルーには関係ないだろ」
「関係なくないよ!私達おとなり同士じゃない
それに私、ヒロシといっしょの時が一番楽しかったし…」
「やれやれ、あいかわらず地味なドラマですなぁ…」
すると… |

「ヨイショっと…」
「ギャーーー!!
なんかホラー映画みたいにでてきたーーッ!?」
「3コマ後に出てきたッ!!
コイツが世界を救う勇者だッ!!」 |

「やぁ、ボクはヒロシ。
あんまりブルーの奴がうるさくてさ。
ちょっとコッチの世界におジャマさせてもらうよ。
キミもマンガ読むかい?」
「…じょ、女王様!
実はこの『よげんの書』には続きがあります!」
「何ですって!?」
「ハイ!えっと…、3コマ後に現れし勇者、
伝説のポケモンをゲットすべし。
さすれば大いなる災いから世界は救われるであろう…」
|

「伝説のポケモンとは一体…?」
3人は伝説のポケモンを想像してみた。
「やはり伝説といえばバンギラスだろう」
「バーカ!!バンギラスは伝説じゃねーよ!!
やっぱセレビィで決まりだろ!」
「セレビィは幻だろこのスカタン!!
ラブカスこそが伝説に決まってるわよ!!」
「って、ラブカスなら近所の池にいますぞ!」
3人の意見は大いにくい違った。 |

「仕方ありません。
では全員の意見をまとめて、
伝説のポケモン ラブカスを探しにいきましょう!!」
 「強引にまとめやがった!?」
「ねぇねぇ、ところでその
大いなる災いってなんだい?」
「むむ、たしかに大いなる災いとは
一体なんのことやら…」
?「キャーー!!」 |

三人が振り向くと、女の子がおどろいていた。
「あっ、キミ!どこから入ってきたんだ!」
「あら?アナタも確か中学生日記に...」
「ブルー!なんでついて来るんだよ!
「だってヒロシが私の話も聞かずに
テレビの中に逃げるから…、
それよりみんな!外を見てよ!」
|

窓から外を見ると、
巨大ゴクリンが城に接近していた。
「ゴクリ〜ン!」
「でかーーーーーッ!!!」
「近ェーーーーーッ!!」
大いなる災いは物理的に巨大な災いだった。 |

巨大ゴクリンは城を潰し始めた。
「ひぃいいい!私のお城がぁ!」
「いけない!
とにかくここから脱出しないと!」 |

ヒロシ達は城を出たが、巨大ゴクリンはなおも接近してきた。
「みなさん!
ここは私に任せてください!!」
ぷりり!!みんなを空に…」
しかし、
巨大ゴクリンはもう目の前まで来ていた。 |

「きゃああああ!」
巨大ゴクリンはあろう事か
女王を飲み込んでしまった。
「何と言うことだ!早く女王様を!!」
「しょうがないなぁ…。
いけ!ジッポーッ!!」 |

しかしモンスターボールから
出て来たのはクルーズだった。
「あれ!?
おかしいなぁ、ジッポを出そうとしたのに・・・。
まあいいや、クルーズ!
地震だ!!」 |

「ゴクーーーッ!?」
地震の衝撃で
女王は巨大ゴクリンから
脱出できた。
「やったぜ!クルーズ!!」 |

その時!
突然クルーズの身体が光り輝きだした。
「え!?
こ、これは・・・進化の光!?」
そして、光が収まると・・・。
クルーズはバンギラスに進化したのであった。
「うおおおお!
力がみなぎって来るぜ――!!」
|

「ハッ!そのポケモンはもしや
バンギラスではないか!」
「え?そうだけど」
「バンギラスはオレの中で
伝説のポケモンなのだ!!」
「ええーっ!?
ボクなんかが
伝説のポケモンでいいんスかぁーッ!?」 |

「だいじょうぶ!クルーズは十分伝説っぽいから
女王も納得してくれるだろうさ!」
「クルーズ君!
うまく女王に思い込ませてくれ!!」
「は、はい!
ボクがんばります!!」
「女王様〜!
伝説のポケモンがみつかりましたよ〜!」 |

「そんなモンが
伝ポケなわけねーだろッ!!!」
「ぎゃああーーーー!!!
クルーズーーーー!!!」
クルーズは宇宙の果へとんでいった。 |

「ヒロシくん!!
巨大ゴクリンは私がくい止めるから、
アナタ達は伝説ポケモン『ラブカス』のゲットを
お願いね!!」
「・・・は・・・はい…」
このときヒロシは巨大ゴクリンよりも
女王の方がこわかったと後に証言した。 |

「うおぉおおおおーーー!!!
いくぞマネネーーー!!」
「めんどくさいけど、ボクらはラブカスを探そうか」
「そうだな」
「どうして誰もこの展開に突っ込まないのよっ!!」
二人は命が惜しいからだった。 |

三人は城の近くにある池へ向かった。
「ラブカスなら
いつもこの池にいるハズですが…」
「あ!アレを見て!」
「もしかしてラブカス!?」
|

しかしラブカスは池の中へかくれてしまった。
「にげたわー!
よ〜し、カメちゃん!!
探してきてー!」
|

「やっほー♪
ついにオイラの出番だよー。
ん?あそこにいるのがラブカスだな?
おーいキミ!ちょっと待ちたまえ!」 |

ガガガガガガガガガッ!!
「ぐわぁあああああッ!!」
ラブカスが突進してきた。 |

「キャアァーーー!!
カメちゃー−−ん!!」
ゼニガメがやられてしまった。 |

「カメちゃん…」
「ハッ!みんな!アレを見ろ!」
「何かが池から出てくる…!」
「まさかラブカス!?」 |

  「どぁー!!なんか出てきたー!!!」
「ドホホホホ…、
みなさん、はじめまして。
ワタクシ、この池のぬしを
勤めさせていただいております、
マダム・ジュラと申します。以後お見知りおきを」
ラブカスに見えた物体は、
マダム・ジュラの水面に突き出したうわクチビルだった。
「は、はぁ…。 そうだ、マダム・ジュラさん!
私たちラブカスを探しているんですけど、
ごぞんじありませんか?」 |

「あら?
それって、この子の事じゃなくて?」
マダム・ジュラが帽子を脱ぐとラブカスがいた。
「おおっ!!
アレこそが伝説ポケモンラブカス!!
えーいマダム・ジュラさん!
その娘さんをボクに下さーい!!!」
「偉いわヒロシ!
いけいけヒロシ〜!」
|
「フフフ…いいでしょう。
わたくしの愛娘、
アナタに差しあげても良くってよ。
そのかわり…」
「やい!そこの細目ッ!!
キサマをわたくしの
再婚相手とするッ!!!」
「な、なんだとぉーーーッ!!!
…って、アレーーー!?
いつのまにか足かせがーーー!?」
|

「はい、いいですよ」
ヒロシはあっさりOKした。
|

こうして強制的に夫にされたタケシと
マダム・ジュラの甘い新婚生活がはじまった。
「あなた、お茶を入れてちょうだい!」
「は、はい。ただいま…」
タケシはマダム・ジュラにさからえなかった。
「ふぅ…たいした犠牲も出さずに
ラブカスをゲットできて良かった良かった」
ヒロシとブルーがラブカスを連れて城に戻ろうとしていると…
|

「ハァーハッハッハ!少年少女よ!
愛をうたう勇者!アーロン参上!
ラ〜ブカスよ!
私の特性チョコレートが欲しければ
私のもとに来るのだ!!」
「な、なにこのオッサン!?」 |

「私、甘いもの苦手」
「!!」
アーロンのチョコがくだけた。
|

ヒロシたちはアーロンを無視して
オルドラン城へ戻ってきた。
「えっ!?
もうラブカス捕まえてきたの?」
「ハイ。コイツでいいですよね?」
「ところで、このラブカスで
いったいどう戦うのですか?」 |

「フフフ・・・
こうするのよ!!」
女王は不敵な笑みを浮かべながら
ラブカスを巨大ゴクリンに投げつけた。
「おりゃーーーーーーッ!!!」
 「ええーーー!?」 |

「緑のまんじゅうをけちらせーー!!」
ラブカスは巨大ゴクリンへと飛んでいった。
そして… |

「ゴクゥーーーーーッ!!!」
「やったー!
巨大ゴクリン撃破だっ!!」 |

「ウキャーーーーッ!!
さすがは伝説のポケモン、ラブカスちゃん!!」
女王は狂ったように騒ぎました。
「ほ、ほんとに倒したの・・・?」
「あっ!でもなんか
ゴクリンの様子が変だぞ!」
|

「ひょっとして…この光は…!?」
「うげェーッ!
ゴクリンがマルノームに進化したぁ〜ッ!」
|

「ガァアアアアアア!!」
巨大マルノームが大声をあげると
大地に亀裂が走り、岩石が宙に舞った。 |

「マルノォーーム!」
巨大マルノームは地面に向かって
2匹の巨大ゴクリンを吐き出した。
「イヤーッ!!
デカイのが増えたーッ!!」
?「ハーッハッハッハッ!!
だからあの時、
私にラブカスを渡していれば…」
|

「あ、アナタはあの時の!?」
「ついに恐れていることがおきてしまった!!
大いなる災いに伝説ではないポケモンが
立ち向かいし時、災いは真のチカラを開放するだろう!!
この『しんよげんのしょ』に書かれていたとおりだ!!」
「しんよげんのしょだって!?」
「この、しんよげんのしょは
先代の女王、リーン様がよげんのしょに
ウッカリ書き忘れた災いに打ち勝つ
具体的なハウツーがこと細かに記されているのだ!!」
「リーン様が!?」
「そう…。私はいつか訪れる災いから勇者達を導くため、
この本とともに、数百年間現世にとどまっていたのだ」 |

ロータの街を破壊しているマルノーム達をよそに
ヒロシはしんよげんのしょを読み出した。
「なになに…?
『災いから世界を救う伝説のポケモンは、ロータから北西、
はるかなるれいほう に住んでいる。
だが伝説のポケモンに会うには途中にであう
三匹のポケモンからのあかしが必要である』…と。
ん?なんだろうこの羽?」
「この羽、とうめいね…」
「はるかなるれいほう、
そこに伝説のポケモンがいるんだ!」
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「とにかく、
この場は私たちがなんとかおさえます!」
「予言に導かれし若者よ!
伝説のポケモンを連れて来るのだ!」
「は、はい!」
「がんばります!」
二人は世界を救うため、
『はるかなるれいほう』への
長い旅に出た。
中編へ続くよ! |
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