与野党議員と同胞団体代表 第20代国会議員選挙(2016年4月13日)まで1年をきったが、在外国民の積極的な投票参加を促すために、このほどソウル汝矣島の国会議員会館で、呉公太民団中央本部団長をはじめ海外同胞団体幹部らを交えた「在外同胞政治参与の現住所と未来」と題した政策討論会が与野党議員の主催で実施され、「在外国民比例代表制導入方案」を主題に意見を交換した。 登録・投票の便宜拡大も 民団「比例代表枠導入」には反対 政策討論会は、崔載千・新政治民主連合議員(国会外交統一委員会)と楊昶榮・セヌリ党議員(在外国民委員会首席副委員長)が中心となり、民団、在欧州韓人総連合会、在中国韓国人会、米州韓人会総連合会、サイパン韓人会、タンザニア韓人会などが共催して4月27日に開かれた。 呉民団中央団長は祝辞で、12年4月の第19代国会議員選挙から在外国民にも選挙権(投票権)が付与されたことについて「憲法に保障された韓国国民としての権利保障と母国との連帯感、共同体意識の高調など、在外国民としての地位が高まった」ことなどを改めて強調した。 同時に「選挙が過熱すれば、在外同胞社会にも与野党の対立が持ち込まれ、しかも地域感情の誘発など、本来の目的とは別の方向に向かうこともありうる」と在外同胞社会の分裂可能性に言及、政党関係者らに自制を要望した。 主題発表した国会立法調査処立法調査官は「在外国民の代表性保障のための選挙制度改善方案」として「比例議席を在外国民代表に割り当てるならば3〜4議席ほどが適正。米州、アジア、欧州など大陸別に配分する方式が検討可能だ」と提案した。 現行の各党比例代表名簿への在外国民登載については、「各政党にとって議席確保に大きい影響力のない在外国民のために、議席を割り当てることに大きな実益がないと判断して下位順位に配分するために実効性がない」と強調した。 韓国在外選挙研究センター所長は、海外選挙区導入にともなう憂慮事項として、在外選挙の公正性確保と海外同胞社会の分裂および葛藤克服問題をあげた。 討論では、外交部在外同胞課書記官と中央選挙管理委員会在外選挙チーム長が、在外国民比例代表制の導入には慎重なアプローチが必要だと表明。「前回の国会議員選挙と大統領選挙で在外同胞の参与が期待されたほど高くなかった」と指摘、便宜性と参加率向上のための在外選挙制度の持続的な改善が重要だと強調した。 許孟道民団中央常任顧問は、在外国民比例代表制の導入などがかえって在外同胞社会の分裂につながる可能性もあると指摘した。 許常任顧問は、「現在300人の国会議員定数から在外同胞のために議席を割くことが現実的に可能なのか。たとえ在外国民代表として数人が議席を得たとしても、同胞社会のためにどれくらい効果的に活動できるのか疑問だ。民団としては比例代表を遠慮したい」と表明した。 ちなみに民団は、前回の国会議員在外選挙の結果を踏まえて、在外選挙人登録率および投票率アップへ巡回領事制度の活用や領事館以外にも、民団会館などの活用による投票所数の増大などを要望している。 また、比例代表政党名簿への在外国民登載については「在日同胞社会が登載指名および票獲得運動の激化により分裂様相を呈する危険性がある。これは日本だけでなく、他地域の同胞社会においてもその可能性を内包している」として、各党に対して海外同胞を比例代表候補者に指名しないよう自制することを求めている。 ■□ 第20代国会議員選挙 6月29日に模擬投票 第20代国会議員選挙在外投票までの日程は次のとおり。 ▽6月29日 模擬投票実施(在外公館) ▽10月16日 在外選挙管理委員会設置 ▽11月15日〜16年2月13日 在外選挙人申告・申請受付 ▽16年3月 在外選挙投票期間(30日〜4月4日) (2015.5.13 民団新聞) |