日本株市場の回復によって2013年は54社が新規上場を果たし、2010年の22社、2011年の36社、2012年の46社と比べて大きく増加した。各証券会社の予想によると今年は更に増加する見込みであり、この10年来で最大となる可能性もある。
長期の投資家にとってIPO(新規公開)の良いところは、公開当初からその会社の株主になるチャンスが提供されているということである。IPO銘柄の中には上場後に飛躍的な成長を遂げ、公開当初の数十倍の株価になっているような優良企業もある。新しい銘柄であるため投資家間での情報格差も小さく、絶好の宝探しの場となる。

一方で注意しなければならないのは、IPOにはハズレが多いということである。直近2年に新規公開した株のうち、現在の株価が初値を上回っているのは実に1/3に満たない。地合いの良かった昨年の相場にあっても、結局は公開当初の「お祭り」の後、市場の期待を上回る好調な業績を出し続ける企業というのは、ごく一部でしかないということだ。
私もIPOは銘柄発掘の場として重要視しており、時間の許す限り経営者と面談をするようにしている。これまでに様々な国と市場で、数えきれない程のIPOを見てきたが、個別のビジネスモデルや事業戦略、競争環境云々はさて置き、IPO銘柄に特有の共通したチェックポイントがあるので、簡単にまとめてみる。
1. 主幹事証券会社はどこか主幹事証券会社がどこであるかによって、その銘柄のクオリティーは入口の段階から選別を受けている。最高ランクの野村であれば、上場前の審査で厳しいデューデリジェンスに合格しているはずであり、管理体制や反社会勢力との関係などにおいては問題がないと見てよい。逆に言うと、マイナーな証券会社である程にこれらの調査がお粗末であり(あるいは確信犯であり)、引受手数料欲しさに上場をさせ、後は「投資家の自己責任」とする場合があるため注意したい。
2. 経営者はどのような経歴か「目論見書」やネットなどから経営者の経歴は注意して見る。サラリーマン社長の場合、重要な取引先や銀行からの天下り的な経歴である場合は、単なる傀儡(かいらい)経営である可能性がある。創業社長の場合でも、それ以前にどのような経歴であったかは重要な情報となる。過去に別の会社を創業して倒産させている場合や、問題を起こした企業の経営陣であった場合などもあり、社長に至った経緯において必然性があるかどうかは慎重にチェックする。
3. 売り出し人は誰か公開と同時に大株主が株を売り出していることがある。未公開企業であった会社の中身を一番知っている大株主が株を手放すということは、会社の成長がそこで終わりであると判断しているということである。経営者自身が(流動性供給以外の目的で)大量に売り出しをしている場合は更に注意が必要であり、上場がゴールであると思っている査証となる。このような会社が上場企業として成長を続けることはまずないと言ってよい。
4. 資金使途は何かIPOはイニシャル・パブリック・オファリングの略であり、新株を発行し、初めて市場から資金を調達することを意味する。財務体質が良く、明確なビジョンや投資戦略がない会社がIPOをする場合、創業家の相続税対策など、上場することそのものが目的であることがあり注意したい。一方で財務体質の悪い会社が、銀行からのプレッシャーを受けて負債を返済するために資金調達をするような場合もある。何れにしても、株式市場は彼らのATMではないので、株主に報いるつもりのないディールは無視するに限る。
5. バリュエーションは適正かIPOの公募価格は機関投資家の需要によって多少の変動はあるものの、基本的に主幹事証券会社の「言い値」に近く、明らかに割高な価格で上場してくる場合が多い。これは証券会社がディールの時価に対して何%というフィーを得る契約形態であることが要因であるが、初値とその数日後に付く値段が上場来高値となってしまい、長期の投資家が寄り付かなくなってしまう。証券会社側の短期的な利益追求によって、IPOが祭りで終了してしまう残念な結果となることがある。
以上のような点をチェックすると、IPO銘柄のスクリーニングの効率が上がるかもしれない。入り口から伸びる会社を発見するためにも、投資家を軽視したディールは完全にスルーするスキルを身につけておきたい。
ところで任天堂のとんでもない下方修正はビックリでしたね。仙人様も言及して頂いたので私は理解はしていたつもりですが、ほんとうにこんなに酷いことになってしまうのですね。
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