業務が割り込みだらけならタスクシュートしかない

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以前からけっこう不思議なお問い合わせをいただくのですが、「自分の業務は割り込みばかりで、通常業務がまったくできない状態なので、タスク管理ができないのだ」といわれます。

ぜひその状況が改善されることを祈るばかりですが、ではいったい、「通常業務」はいつ行われているのでしょう?

「通常業務はまったくできない状態」

それで会社には許容されているのでしょうか?

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このような反問は神経を逆なでしかねないものであるらしく、私も気をつけてするようにはしているのですが、「通常業務はまったくできない状態」というのは私が勝手に考え出したものではないだけに、問いただすより他どうしようもありません。

「通常業務はまったくできない状態」だからタスク管理するヒマもない、というのはわかります。

しかしながらタスクシュートにおいてまずなによりもなすべきは「行動記録」です。もちろんそれもするヒマがないというのは、特に割り込み業務対応時においてはわかります。(とはいえそれでも記録は残すべきなのです。他に方法はないのですが、それについて少し後に)。

しかし、「通常業務」をどこかの時間に実際おこなっているのであれば、その記録は必ず残すべきです。それがサービス残業時であろうと、終電間際だろうと、残さないことにはどうにもなりません。現実を知るためです。

現実として、通常業務時はすべて割り込み対応だけに追われ、残業タイムにすべての通常業務をこなしているということなら、そういうふうにプランニングされるべきだからです。

タスクリストとは「理想リスト」とは違います。これは何度も繰り返し書いていることで、書くたびになぜスルーされるのかむなしくなるくらいですが、「理想のリストを書くことで理想の現実を作り出せる」はずがないのです。書けば現実を作り出せるドラえもんの道具みたいなものがあるなら、タスクシュートなんかを紹介するわけがないでしょう。

プランは書いても実現されません。

タスクシュートのシミュレーションに一番近いのは、カーナビのルート案内です。カーナビにルート案内させれば、自動的に目的地まで車が運んでくれるでしょうか? カーナビがタクシーではないように、タスクシュートは仕事をやってくれるロボットではないのです。

記録することで、通常業務をもしやっているのなら、いつか、どこかでやっているはずです。それをまずおさえることが先です。通常業務は残業タイムにこなされている確率が90%以上なら、そういうふうにプランニングするしかありません。

そして、通常業務の時間帯は、すべて「□割り込み業務」というタスクになるのです。

この形の妥当性は、家計簿のことを考えてみるとわかります。家計簿は予算を記入する前に、記録を残すでしょう。通常支出は「存在しないもの」としたところでお金が貯まるものではないのです。そしてお金を使うということは「割り込み」の連続のようなものです。

割り込みばかりであればあるほど、ますます記録ばかりにするしかないはずです。そういう意味で、プランニングすることしかできない類のタスク管理ツールというのは、割り込みが存在する業務には向かないと思います。

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著者:佐々木 正悟
1973年(昭和48年)生まれ。心理学ジャーナリスト。ビジネス書作家。
人を子ども扱いするのは好きではありません。
もっとも語りたくないのは人生哲学です。