安保関連法案:「平和の理念覆す」…抗議続々と
毎日新聞 2015年05月15日 11時37分(最終更新 05月15日 12時09分)
安倍内閣の閣議決定を経て15日衆院に提出された安全保障関連法案を巡り、法曹界をはじめ労働や医療、教育など幅広い分野の団体が相次いで抗議声明を出した。
日本弁護士連合会(村越進会長)は「憲法第9条が禁止する海外での武力行使に道を開く」などとして「違憲性を強く訴える」との反対声明を出した。「法案は、徹底した恒久平和主義を定め平和的生存権を保障した憲法前文及び第9条に違反し、平和国家としての日本の国の在り方を根底から覆す」とし、「憲法改正手続きを踏むことなく憲法の実質的改正をしようとするもので、国民主権の基本原理に反する」と法案を批判した。
連合(古賀伸明会長)は、発表した談話で「国民を巻き込んだ議論が後回しにされてきたことは極めて遺憾」「改正法案すべてを一括で審議することは乱暴」などと批判。「法改正に伴い、国民の生活や権利、企業、地方自治体、自衛隊員などにどんな影響があるのか、国民の目線からの説明が欠けている」と指摘した。
病院や診療所など全国1700以上の事業所が加盟する「全日本民主医療機関連合会」(藤末衛会長)も会長声明を出した。「日本を戦争国家へと変貌させる『戦争立法』と呼ぶべきもの」と法案を位置付け、「なんとしても廃案にするために、たたかい抜く決意を表明する」とした。
開業医や勤務医が加盟する「全国保険医団体連合会」(住江憲勇会長)は永瀬勉非核平和部長名の声明で、「歴代内閣が保持してきた憲法解釈や戦後日本が歩んできた平和主義、専守防衛の理念を根本から覆し、平和国家としての地位を突き崩すもの」と批判した。
「日本中国友好協会」(長尾光之会長)は「アジア諸国民と日本国民が犠牲になった侵略戦争の反省から日本が世界に『戦争放棄』を誓った憲法9条を破壊し、戦後の日本の平和国家のあり方を根底から変えるもの」とする抗議声明を出した。
教職員で作る「全日本教職員組合」は「戦後、日本の教職員は『教え子を再び戦場に送るな』のスローガンを確立し、大切にしてきた。今こそ子どもたちに憲法9条を生かした『平和を広げる国』を手渡そうとの声を一緒に上げよう」と呼びかけた。【まとめ・太田誠一】