本土復帰43年:「基地は沖縄経済発展を阻害」…強まる声
毎日新聞 2015年05月15日 12時33分
沖縄本土復帰から43年となる15日の平和行進で、参加者は基地反対を強く訴えた。本土復帰から43年を迎えた沖縄だが、今も全国の0.6%の面積に74%の米軍専用施設が集中する。一方、県民総所得に占める米軍基地関係収入の割合は本土復帰時の15.5%から2012年度には5.4%に激減。「今や基地は沖縄経済の発展の最大の阻害要因」との声が年々強まっている。
米軍は戦後、「銃剣とブルドーザー」で土地を強制接収し基地を拡大。復帰後も基地はあまり減らず、沖縄本島の18%を基地が占める。土地を基地に奪われた結果、本土のように製造業が育たず、経済状況は厳しい。県民所得(202万円、10年度)は全国最下位で、全国平均の約7割しかない。財政で、基地関係収入への依存度が30%を超える市町村もある。
しかし基地経済の存在感は確実に薄まっている。那覇市の新都心地区(旧米軍牧港住宅地区)は民間の活力で、返還前と比べて直接経済効果が32倍に。観光が新たなリーディング産業に育ち、観光収入が県民総所得に占める割合は基地関係収入のほぼ倍の10%に及ぶ。沖縄は「基地がなくてもやっていける」と自信を持ち始めている。
昨年11月の知事選で米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴えた翁長雄志氏が当選。県民が「移設ノー」でまとまる底流には、悲願の自立経済を目指す民意がある。【佐藤敬一】