安曇野ちひろ美術館:戦争を描いた絵本展始まる
毎日新聞 2015年05月15日 19時41分(最終更新 05月15日 20時32分)
長野県松川村の安曇野ちひろ美術館で15日、戦後70年特別企画として「戦争を描いた日本の絵本展」が始まった。具体的な体験談や寓話(ぐうわ)を通じて戦争を取り上げた1990年代以降の12冊の原画70点を展示している。7月14日まで。
集められた作品は、沖縄県の小学生の詩に長谷川義史さんが絵をつけた「へいわってすてきだね」や、知らない相手を恐れて戦うが笛の音をきっかけに関係が変わっていく沢田としきさんの「土のふえ」など。軍靴が周りの国を踏みにじっていくストーリーや、終戦後に台湾人の友人の態度が一変した自らの経験を描いたものもある。作者のうち10人が、今回の展示のために「多くの人が死んでいったことを子供たちにどう伝えるか悩んだ」などのメッセージを寄せた。
担当の松方路子・主任学芸員は「幅広い年代の人に繰り返し読んでもらえるのが絵本の特徴。敬遠されがちなテーマだが、想像力を高めて何かを感じ、相手の立場を思いやる気持ちを育んでほしい」と話していた。
毎月第2、4土曜の午後2時から、展示室で学芸員によるギャラリートークがある。また、ベトナム戦争や原爆を題材にした、いわさきちひろの「戦火のなかの子どもたち」「わたしが小さかったときに」の原画などを展示した「ちひろ・非戦の誓い」を同時開催している。
問い合わせは同美術館(0261・62・0772)。【古川修司】