安保関連法案:撤回求め声明 学識者らの懇談会
毎日新聞 2015年05月15日 21時30分
集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案について、学識経験者らでつくる「国民安保法制懇」は15日、「安全保障・国防に関わる方針の大転換を、政府は国民の理解や国会での十分な審議なしに実現しようとしている」などとして撤回を求める緊急声明を発表した。
メンバーは内閣法制局長官経験者や憲法学者ら計10人。東京・永田町の衆院第1議員会館で同日開いた記者会見で、弁護士の伊藤真氏らは「自衛隊の海外での武器使用権限の拡大により、自衛隊は事実上の軍隊へと変質することになり、明らかに憲法9条違反」と指摘した。
また、第1次安倍政権で官房副長官補を務めた柳沢協二氏は「同盟国米国との合意を先行させ、既成事実として事後的に国会に法案を提出し、成立時期まで制約しようとする姿勢は、民主主義日本の存立を脅かす」、憲法学者の小林節・慶応大名誉教授は「法的に、政治的に、経済的に間違っている」と批判した。
声明は、政府が今国会での法案成立を目指していることに対し、「国会承認は両院に7日以内の議決を要求するため、一歩誤れば国の将来に災いをもたらしかねない各種事態に関する国策が、実質14日間の国会審議で決められる」と危機感を示している。【樋岡徹也】