沖縄復帰43年:「基地何も変わらず」 知事、政府を批判

毎日新聞 2015年05月16日 08時15分

 ◇「移設」に民主主義あるか

 沖縄県は15日、1972年5月15日の本土復帰から43年を迎えた。翁長雄志(おなが・たけし)知事は県庁で記者会見し「『本土並み』を合言葉に県民の努力で勝ち取った復帰だったが、真の民主主義の実現など県民が強く望んできた形にはなっていないように感じる」と述べた。

 そのうえで米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設について「基地問題は何ら変わらないという中で『辺野古移設が唯一の解決策』とするが、そこに自由とか平等とか民主主義があるのだろうか」と述べ、改めて政府を批判した。

 名護市辺野古に隣接する瀬嵩(せだけ)海岸では、復帰を記念し平和を願って歩く恒例の「5.15平和行進」の出発式があった。労組関係者ら参加者約1200人(実行委発表)が「基地のない平和な沖縄をつくろう」と声を上げ、辺野古に向けて歩いた。

 沖縄県には今も全国の米軍専用施設の74%があり、沖縄本島面積の18%は米軍基地。平均県民所得202万円(2010年度)は47都道府県で最下位で、全国平均の7割にとどまる。 一方、県民総所得に占める米軍基地関係収入の割合は本土復帰時の15.5%から12年度には5.4%にまで低下し、観光収入はほぼ倍の10%を占める。また、米軍住宅地跡地に造成された那覇市の新都心地区は消費や投資など民間取引による経済波及効果が返還前に比べて32倍になるなど新たな街づくりが成功し「基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因」との声が強まっている。【佐藤敬一、川上珠実】

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