謎の大量死水族館、マグロ6月中にも復活へ

2015年5月16日6時0分  スポーツ報知
  • ハガツオが追加された葛西臨海水族園の水槽を見学する親子

    ハガツオが追加された葛西臨海水族園の水槽を見学する親子

 昨年12月からクロマグロが大量死する問題が起きていた葛西臨海水族園(東京都江戸川区)で15日朝、ハガツオ21匹が同水族園の目玉ともいえる回遊魚水槽に搬入され、一般公開が始まった。今後、問題がなければ、3月24日以降、1匹だけになってしまっているクロマグロを同水槽へ6月中にも入れる予定。同水族園の“完全復活”へ一歩、前進した形だ。

 群れをなし、ダイナミックに泳ぐクロマグロの姿を再び見られるように―。復活への第一段階として、水槽の中にハガツオが戻ってきた。

 この日、開園1時間ほど前から和歌山県の海で飼育されていた全長50~60センチ、平均体重2キロのハガツオ21匹を水槽に入れる作業が行われた。群れをなして回遊を始めた頃に、水族園が開門。幼児の団体客らが水槽の前に駆け付け、大きな歓声が上がった。

 昨年11月6日にはクロマグロに加えて小型マグロ類のスマ、さらにハガツオの3種で計190匹がいた水槽は、12月に入って急激に個体数が減少。最大38匹いたハガツオも、1月26日に全滅した。原因は不明で当時3匹が生き残っていたクロマグロも、3月24日に1匹だけになっていた。

 その後、マグロの仲間ではないアカシュモクザメ、タカサゴ類を入れて水槽内の環境の安定を確認。問題がないとみられることから、この日のハガツオの導入に踏み切った。錦織一臣副園長は「段階的に様子を見ていきたいと思いますが、復活へのステップになったと思います。マグロ類の第1弾ということで、うまくいってほしいですね」と願いを込めた。

 大量死した当時は、死んだ個体からウイルスが検出されたこともあったが「現在も引き続き調査中ですが、大量死につながるものではないということは判明しました」。複合的な要因があったとみて、研究を続けているという。

 今後は、よりクロマグロに近いスマを今回と同じ和歌山県から22日に約30匹入れる予定。問題がなければ、6月には待望のクロマグロが導入される。1匹だけ生き残っているマグロの状態は悪くはないそうだが、錦織さんは「もともと群れで回遊する魚なので…。早く(仲間を)入れてあげたいですね」と話していた。(高柳 哲人)

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