久永隆一
2015年5月16日03時09分
年金保険料を納めたのに記録が残っていない「消えた年金」問題で、総務省は15日、国民の申し立てを受けて記録回復の是非を判断してきた「年金記録確認第三者委員会」の業務を6月末で終えると発表した。2007年の設置から8年間で、審査対象の5割強にあたる約14万6千件の記録を回復した。
持ち主が分からない「宙に浮いた年金」を含む年金記録の問題は、第1次安倍内閣の時に発覚。年金は厚生労働省が所管するが、同省の旧社会保険庁による記録管理のずさんさに、国民の不信感が広まった。このため、弁護士らによる消えた年金の第三者委は、公平公正な立場を確保する狙いで総務省に設けられた。
総務省によると、8年間の申立件数は29万3621件で、取り下げなどを除く26万8453件を審査し、54・3%にあたる14万5936件の記録を回復した。給与明細や家計簿といった資料で保険料納付を裏づけられない場合でも、年金記録がない期間のほかはきちんと保険料を納めているなど、不自然でなければ回復してきたという。
消えた年金の回復業務は、すでに3月から厚労省が引き継いでいる。各地の地方厚生局が申し立てを受けつけ、弁護士らでつくる審議会の意見を踏まえて回復の是非を決定している。(久永隆一)
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