統合失調症(3)即決でコンビ誕生 症状改善へ
ハウス加賀谷の相方で、5歳年上の松本キックは三重県で育った。格闘技が大好きで、自分で作ったサンドバッグを暗くなるまで蹴り続けた。東京に出てみたくて、大学に進み、琉球拳法部に入った。
だが、卒業して就職するだけの将来に疑問を持ち、2年で退学。格闘技では食えないので、もう一つの大好きなお笑いに傾いていった。19歳から漫才やコントのネタを書きためた。
1991年、芸能事務所のオーディションに受かり、稽古場で17歳の加賀谷と会った。加賀谷も、同じ事務所に合格していた。落ち着きはないが、正直者の加賀谷に、松本が声をかけた。「2人で漫才やらへんか」。即決でコンビが誕生した。
「髪の毛は印象に残るように短くしました」。1年余お世話になったグループホーム名の「○○ハウス」にちなみ「ハウス加賀谷」。加賀谷が怠けると蹴り技をかます松本は、「松本キック」と芸名が決まった。
初めの3か月間、客席から笑いはなかった。ぼけ役でハイテンションの加賀谷と、台本を書き、突っ込み役の松本。2人の芸がなじんでくると、4か月目からどっと受けるようになった。
加賀谷は振り返る。「薬は飲み続けていました。人前に出て、笑いが取れるようになり、幻覚もなくなって、症状は良くなった気がしました」
お笑いコンビ 松本(まつもと)ハウス、ハウス加賀谷(かがや)さん(41)・松本キックさん(46)
(2015年5月7日 読売新聞)
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