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【水族館会員資格停止】
続行か中止か イルカ入手問題で揺れる水族館 日本文化否定に「中止なら捕鯨にもしわ寄せ」
多数決での結論決定に疑問の声もある。JAZAの加盟は、動物園が89施設に対し、水族館は63施設。イルカの飼育は約30施設にとどまる。除名となると、WAZAが扱う血統などの情報が得られなくなるほか、海外との交渉の場も少なくなる。キリンなどの希少動物の入手が厳しくなる中で特に動物園にとっては大きな痛手となる。「結論は明白。水族館側は不公平感をぬぐえない」。ある水族館の担当者は漏らす。
日本の伝統文化を否定することにつながりかねないとの懸念もある。
イルカの入手方法にWAZAが横やりを入れ始めたのは平成16(2004)年。台湾の年次会合で非難決議を決めたが、この際、事前にJAZAとの議論もなく、採決方法も投票は行われず拍手のみだったという。
その後、JAZAはWAZAの提案に応じる形で食用と展示用とで漁を分けたり、狙う群れも小さいものにしたりと、イルカの負担軽減に努めてきた。ただ、満足な説明の場も与えられないまま、今年4月に会員資格停止が決定。岡田尚憲事務局長は「まさに、寝耳に水で残念だ」と話す。