【断末魔の中韓経済】壮絶な所得の奪い合いへ向かう韓国 無策・朴政権はさらなる反日か (2/2ページ)

2015.05.15


経済の低迷でソウル市内も格差は拡大(ロイター)【拡大】

 労働組合の有無を考慮すると、ますます所得格差が開く。労組がない中小企業の非正規社員の平均賃金は、労組がある大企業の正社員の38・6%と、40%を切って来るのだ(04年は44%)。ちなみに、日本の場合、非正規社員を含めても、中小企業の平均賃金は大企業の80%前後である。

 しかも、韓国の場合は何と10人に1人が最低賃金未満で働いている。IMF(国際通貨基金)によると、先進国における最低賃金未満の労働者の割合は1〜3%程度だ。もちろん、韓国は先進国ではないが、それにしてもひどい労働環境である。

 結局のところ、現在の韓国は「グローバリズム」に適応した後発国の末路を、われわれの前に示そうとしているのだ。資本の国境を越えた移動の自由化というグローバリズムが推進され、後発国に安価な人件費目当てに外国企業や外国資本がなだれ込む。先進国から「資本」「技術」「ノウハウ」などが移転され、グローバル市場で「価格競争」を繰り広げると、確かに後発国は先進国に対して優勢を保つ。特に、韓国の場合は08年に第2次通貨危機に陥り、対ドル、対円のウォンの為替レートが暴落するという「幸運」にも見舞われた。

 とはいえ、グローバリズムありきの経済は「国民貧困化経済」に向かわざるを得ない。何しろ、国民が豊かになると、途端にグローバル市場における価格競争力がなくなってしまうのだ。国民の賃金を抑制すると、もちろん内需は伸びない。それでも構わない。外需(グローバル市場)が健在なのだから、という話「だった」のである。

 今後の韓国は、内需、外需ともに停滞し、所得のパイが縮小するデフレ環境下において、国民同士の「所得獲得競争」が激しさを増していくことにならざるを得ない。資本主義社会において、もちろん「競争」は重要だ。ただし、所得のパイが拡大しないデフレ環境下の競争激化は、国民同士の「壮絶な所得の奪い合い」をもたらすだけである。

 韓国のデフレ化は社会を不安定化させ、国民のルサンチマン(=憎悪)を高め、朴大統領をさらなる「反日」へと走らせることになるだろう。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!−中国経済の真実』(ワック)、『繁栄の絶対法則』(PHP研究所)など多数。

 

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