弁護士ドットコム - 無料法律相談や弁護士、法律事務所の検索

2015年05月15日 16時38分

「引っ込めゴミ」人気キャラ「シナモン」に暴言ツイート・・・法的な問題はないの?

「引っ込めゴミ」人気キャラ「シナモン」に暴言ツイート・・・法的な問題はないの?
写真はイメージです

「引っ込めゴミ」「でてくんなしね」。サンリオの人気キャラクター「シナモン」が、ツイッターで複数のユーザーから暴言を投げかけられるイジメに遭い、「かわいそうだ」「なぜこんなことをするのか」と問題視する声があがっている。

シナモンは「子犬の男の子」という設定で、大きな耳で空を飛ぶことが特技というキャラクターだ。ツイッターの公式アカウントで毎日投稿をしているが、この投稿に対して、暴言のリプライ(返事)が飛び交っている。

たとえば、5月10日に「おはよう〜♪」とシナモンが投稿したところ、「お前は起きなくていいんだよ。一生寝てろゴミ。」「かえれこのやろう」「こっちは今からねるんじゃボケ」などの暴言のリプライが投稿されていた。

5月12日には、あるユーザーが「そのまま落ちて頭打ってシネッ!」とリプライを送り、他のユーザーから批判されたが、「ひまだからただシナモンにリプ送っているだけ」と意に介していない様子だった。

シナモンは人間ではないが、このような「キャラクター」のツイッターアカウントに暴言を吐くことに、法的な問題はないのだろうか。人間に暴言を吐く場合との違いはあるのか。ネットの中傷問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●人間ならば「名誉感情」が問題になるが・・・

清水弁護士はまず、人間に暴言が向けられた場合について解説する。

「今回のような暴言が『実在する人間』に向けてされた場合、名誉毀損になると考える人が多いのではないでしょうか。

しかし、名誉毀損が成立するためには、社会的評価を低下させるものである必要があります。単なる暴言の場合、見ている人から『絡まれてるんだなぁ』とは思われるかもしれませんが、社会的評価が下がるとは一般的に言えません」

名誉毀損以外の問題はないのだろうか。

「暴言を向けられれば人格を否定されるわけであり、不快に感じることになります。そのため、名誉感情が侵害されたと見ることは可能です。

今回のようなリプライも暴言に過ぎないため、これが実在する人間に向けられれば名誉感情の侵害となり、損害賠償請求等の対象になり得るでしょう。また場合によっては、侮辱罪となる場合も考えられます」

●「業務妨害」や「信用毀損」の可能性はある

では、キャラクターの場合はどうだろうか。

「人間の場合とは状況が異なります。名誉毀損や名誉感情侵害は、現実に存在する人間について成立するものであり、キャラクターはこのような権利をもつことができません。

したがって、キャラクターにいくら暴言を吐いたとしても、一般的には、それを問題視することは難しいと言わざるを得ません」

では、全く問題ないということだろうか。

「必ずしもそうではありません。

このようなリプライを送り続けることで、アカウントを持っているサンリオのイメージを下げてしまうおそれもあります。理論的には、サンリオに対する『業務妨害』や『信用毀損』とみることは可能だろうと思います。

やっている人は気軽にネタとしてやっているのかもしれませんが、不快に思う人が大多数です。このような暴言を『ネタ』として投げつけることは、別に面白いことではありません。そのことを、今一度、立ち止まって考えてみるべきではないでしょうか」

清水弁護士はこのように語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

清水 陽平弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。
事務所URL:http://www.alcien.jp
SNSでいつでも最新記事をチェック!

この記事へのコメント

Facebook

弁護士コメント

本コメント欄は弁護士のみ書き込むことができます。
コメントを投稿するにはログインが必要です。

※ご利用の際は弁護士ドットコム利用規約及びFacebook利用規約を遵守してください。
※弁護士ドットコム株式会社はコメントの内容等によっては通報等の措置を取ることができるものとします。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して弁護士ドットコム株式会社は一切の責任を負いません。

関連キーワード

アクセスランキング

今日

今週

今月

弁護士ドットコムニュースに
関するツイート

新着みんなの法律相談