理研が米国のSTAP特許出願を放棄
栗原潔 | 弁理士 ITコンサルタント 金沢工業大学客員教授
多くの人にとっては、もうはるか忘却のかなたの出来事かと思いますが、5月11日付けで理研が米国におけるSTAP特許出願の持分をブリガムウィメンズ病院(ハーバード大)に譲渡した(事実上の権利放棄)ことが明らかになりました。
STAP特許をまだおっかけているのかと思われるかもしれませんが、別にわざわざ調べているわけではなく、通常の仕事として自分が扱っている米国特許を米国特許庁の審査状況データベース(PAIR)で照会するときに、STAP特許出願の番号(14/397,080)が検索窓でサジェストされるのでついでに見ているだけです。
理研の持分放棄によって、米国のSTAP特許出願はブリガムウィメンズ病院の単独出願となります。米国に特許を盗まれたと隠謀論系の人がまた騒ぎそうな気がしますが、たぶん、バカンティ教授がごねて放棄させないだけではないかと思います。
なお、ついでに言うと(これはわざわざ調べました)、STAPの国際特許出願が、EPO(欧州特許庁)にもEP2844738として国内移行されてました(データベース上では理研とブリガムウィメンズの共同出願になってますが、たぶん理研はもう持分放棄しているのでしょう)。オーストラリアの出願(2013251649)は、5月5日付けで理研が持分放棄してました。日本の出願(2015-509109)は、そもそも翻訳文が期間内に提出されなかったので全体として取下という状況だと思われます。