[PR]

 首相官邸屋上で小型無人飛行機(ドローン)が見つかった事件で、東京地検は15日、福井県小浜市の無職山本泰雄容疑者(40)を威力業務妨害罪で起訴した。捜査関係者によると、山本容疑者は「ドローンを使えば注目されると思った。デモ以上テロ未満の方法を選んだ」と供述したという。

 起訴状によると、山本容疑者は4月9日午前3時40分ごろ、東京都港区の駐車場から、放射性物質を含む土砂を入れた容器や発炎筒を載せたドローンを遠隔操作で首相官邸の屋上に落下させ、4月22日に発見した官邸職員らの業務を妨害したとされる。地検は原発再稼働への反対を訴える目的だったとみている。

 捜査関係者によると、山本容疑者はドローンを使った理由を「話題性があり、インパクトがある。ピザの宅配に使われている映像などを見て思いついた」と話した。一方、山本容疑者は出頭した際「反原発を訴えるために飛ばした」と供述していたが、その後の調べに対し、反原発に傾いた経緯は「記憶にない」。昨年7月に会社を退職し、九州電力川内原発などを訪れ「各地の原発を見て回るうちに人生を考えるようになった。加齢への焦りがあった」とも話したという。

 山本容疑者は自身のブログで「ローンウルフ(一匹おおかみ)」を自称。既存の反原発グループに所属したりデモに参加したりせず、単独で行動していた、と警視庁と東京地検はみている。