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注目のNHKの記者会見 なぜフリーや雑誌記者は参加できないのか?

THE PAGE 5月15日(金)12時1分配信

 NHKの会見は通常、会長(現在は籾井勝人氏)、放送総局長(同じく板野裕爾氏)が毎月1回の会見に臨んでいるほか、経営委員会委員長(現在は浜田健一郎氏)が月2回の経営委員会終了後、「記者ブリーフィング」という形で報道陣と公式に応対しています。これらの会見・ブリーフィングは質疑も含めて「要旨」がHPで公開されてはいます。

 しかし、他の省庁や警察などの記者会見と同様、NHKの会長・放送総局長による会見への参加は記者クラブ加盟社・者に限定されています。籾井会長の発言問題やクローズアップ現代のやらせ問題が大きなニュースになった際、記者クラブ非加盟のフリー記者らが「会見に参加させてほしい」と要請しましたが、認められませんでした。

 NHKの会見は、NHKと記者クラブによる共催の形を取っています。クラブ員以外の会見参加について、ラジオ・テレビ記者会はどう考えているのでしょうか。クラブを代表して幹事社はこう答えています。

 「何度かフリーランスの方から申し出を頂いており、協議をしたのですが、会長・放送総局長の会見取材はクラブ会員に絞っています。理由は、会場の広さの物理的な問題。現に(いつも)満席です。そして、フリーランスの定義、線引きも難しい、ということです」 

 もう一方のNHKは「参加希望があれば、NHKと記者クラブが、それぞれ判断することになります」(広報局)としています。“消極的”と言って良いでしょう。

 NHKの現場記者はふだん、取材対象の官庁などに対し、「会見を開いて説明せよ」と迫る立場にあります。ところが、日本のテレビ界で絶大な力を持ち、公共放送としての重要な役割も背負っていながら、自身の問題に関しては「閉鎖的」「独占的」立場を崩さなかったわけです。

 ここで、おもしろい資料を一つ紹介しましょう。

 2010年ごろ、記者会見や記者室の開放を求めて活動していた「記者会見と記者室の完全開放を求める会(http://kaikennow.blog110.fc2.com)」が報道各社に対し、フリー記者らによる会見参加への見解を尋ねた調査の結果です。

結果:各報道機関からの回答一覧(http://www.craftbox-jp.com/data/100518kekka.pdf)

 「記者会見」「記者室」「資料提供」の3点について、加盟社以外の利用も認めるべきではないかとの質問に対し、NHKは「原則」という留保を付けつつも、公式に「賛同する」と回答しました。さらに日本新聞協会の「記者クラブはより開かれた存在であるべき」という見解を引用した上で、「記者室利用やクラブ未加盟のジャーナリストの取材機会についても〜柔軟に対応していく」と明示しています。

 会長会見へのフリー記者らへの参加を拒むNHKは、この回答をすっかり忘れてしまったのでしょうか。それとも、元々いい加減な回答だったのでしょうか。取材活動はすべて「質問」から始まるのですから、その機会を奪っているNHKは同じ報道界のフリー記者らに真摯に対応する必要がありそうです。

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最終更新:5月15日(金)12時1分

THE PAGE