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地底の底の底――「星(希望)からもっとも遠い」場所で、永遠にふるえている。
ダンテがどれほど「裏切り者」に厳しかったか――。
また彼は「客人への裏切り」(守るべき者を守らなかった罪)にふれ、
ここには「生きながら魂だけ地獄に落ちてくる」とする。
体は生きていても、その中には、すでに悪魔が入っており、魂だけ地獄に来ている者もいる、と。
仏法では「悪鬼入其身(悪鬼其の身に入りて)」(開結四四二頁)と説く。
私も多くの人間に裏切られた。
仏法の世界における裏切りは、その瞬間から生命は地獄である。
何よりそのことが哀れでならない。
このほか『神曲』のイメージは、すべて、一度読むと忘れられないほど強烈である。
因果の悲喜劇の光景が、鮮やかな色彩で描かれている。
たとえば「浪費家」と「ケチンボ」が、胸で重い荷をころがし、たがいにぶつかっては、
またひき返し、「なぜ貯めるんだ」「なぜ浪費うんだ」と永遠に叫んでいる姿。
金銭に振り回され、結局は金銭によって苦しむ人間の業を書いている。
また「嫉妬の罪」をつぐなうため、まぶたに穴をあけて鉄線で縫いつけられ、
光を見られないようにされている人々もいる。
彼らは「よりよい光」を見るのを好まなかった罪の報いを受けているのである。
「怠惰の罪」をつぐなうため、「早く早く」といつも走り続けて休めない人々も。
思い当たる人もいるかもしれない。
また暴力者の中には、先祖の財産を食いつぶした者も「自分への暴力者」に含まれている。
(いばらの中を走り回り、犬に追いかけられて体を引き裂かれる)
かつて、こんな「ふがいない二代目」の笑い話を聞いたことがある。
アメリカの有名な大富豪が、ホテルの部屋をとった。
フロントは「息子さんは、いつももっと上等の部屋をとられますが?」
富豪は言った。
「そうかい。彼には金持ちのおやじがいるが、わしにはいないんだ」
先人が苦労して築き上げた《宝城》の尊貴さを、苦労を知らぬゆえに、
安易に考える青年であってはならない。
正法を守り、正法を流布しゆくための《民衆の城》を、断じて悪から守りぬき、発展させていただきたい。
【イギリス青年部総会 平成三年六月二十九日(全集七十七巻)】
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