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英首相 2期目EU離脱の国民投票など焦点に
5月9日 6時10分

英首相 2期目EU離脱の国民投票など焦点に
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イギリスの総選挙は与党、保守党が単独で過半数の議席を獲得して勝利し、キャメロン首相が続投することになりました。
2期目のキャメロン政権は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票や、第3党に躍進したスコットランド民族党への対応などを巡り難しい政権運営を迫られそうです。
7日、投票が行われたイギリスの総選挙は、議会下院の650議席のうち、与党、保守党が過半数を上回る331議席を獲得し、野党、労働党の232議席を抑えて圧勝しました。
キャメロン首相は8日、ロンドンの首相官邸で「われわれは単独過半数を持つ政権であり、公約に掲げたすべての政策を実行できる」と述べ、保守党単独で2期目の政権を発足させる考えを示し組閣に着手しました。
キャメロン首相は、EUの国々からの移民の流入を制限できないことなどに国民の不満が高まっていることを受け、2017年末までにEUからの離脱の賛否を問う国民投票を行うことを公約しています。
キャメロン首相としてはEUの改革を進めることで国民の不満を払拭(ふっしょく)し、EUからの離脱を避けたい考えですが、「人の移動の自由」を原則とするEUとの交渉は難航が予想されます。
また、第3党に躍進したスコットランドの独立を掲げるスコットランド民族党は、キャメロン首相が進める緊縮策の見直しやさらなる自治権の拡大などを求めるとみられ2期目のキャメロン政権は難しい政権運営を迫られそうです。

EU離脱ならイギリス経済に打撃か

イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱した場合、イギリス経済には大きな打撃を与えるものとみられています。
イギリスの政策研究機関、「オープンヨーロッパ」の試算によりますと、離脱した場合、EU域内との貿易で、関税がかかるようになることなどから、GDP=国内総生産は2030年には、2.2%押し下げられるとしています。
一方、ドイツの研究機関の試算では影響はさらに大きいと見ていて2030年までにGDPは14%減少するとしています。
イギリスには、ヨーロッパを統括する拠点を置いている外国企業も多く、離脱が現実のものとなれば、企業の間でこうした拠点をドイツなどEU域内の別の国に移転させる動きが加速するものとみられます。
また、国際的な金融センターであるシティーもドイツのフランクフルトやルクセンブルクなどにその地位を奪われるのではないかという指摘も出ています。
イギリスには日本企業も多く進出していて、ヨーロッパを統括する現地法人だけでなく生産拠点を置いているケースも多く、イギリスがEUから離脱することになれば打撃を受けることは避けられないと懸念が広がっています。

「EU出てもよい人生は待っていない」

イギリスの総選挙でキャメロン首相が2期目の政権を担うことになったことをうけてEU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領は声明を発表し、イギリスがEUにとどまることに強い期待を示しました。
声明の中でトゥスク大統領は、総選挙に勝利したキャメロン首相に祝意を伝えるとともに「イギリスは統一市場、自由貿易などの価値観を共有するヨーロッパの中心的な存在だ」としています。
そしてキャメロン首相がEU離脱の是非を問う国民投票を2017年末までに行うとしていることを念頭に「イギリスがEUにとどまることを信じている。EUを出てもきっとよい人生は待っていない」と述べ、新政権がEUとの関係強化に取り組むことに期待を示しました。
加盟国の間ではイギリスのEU離脱につながる動きに警戒感が広がる一方で、キャメロン首相が求める国境管理の強化などは「移動の自由」を定めるEUの理念や条約に反し、受け入れられないとする声が強まっています。

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