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話はフランスからイギリスへと変わる。
先日、私は、サッチャー前首相と二年ぶりに再会した。
前首相の不屈の信念と、行動への情熱が、いささかも変わっていないことが確認でき、うれしかった。
加えて、女性らしいこまやかな気配り、謙虚な姿勢が印象的であった。
私は、二年前、彼女の首相就任十周年を記念して、タプロー・コートに「サッチャー首相の木」を植樹した。
会談では、その生長ぶりについて、開口いちばん、前首相のほうから質問があった。
「まったく順調に育っています」と報告するとともに、後日、その木を撮影した写真も贈らせていただいた。
ご存じのように、彼女は一九七五年にイギリス保守党の党首に、一九七九年には英国首相に就任された。
以来、イギリスのために、また世界のために、働いて働いて働きぬいてきた。
「歴代首相のなかでももっとも働いた首相」といわれる。
劇場にも行けない。美術館にも行けない。
そうしたプライベートな時間は、ほとんどなかった。
お酒も飲まない、食事もほどほど。
休暇は一年に十日。
週に七日、日に十九時間近く働いたといわれる。
周りが疲れても、自分は休まない。仕事を続ける。
海外から帰国し、空港から直接、議会に行くこともしばしばであったという。
自分は国家のために働き続けるのだ――これが彼女を支えた不動の精神であろう。
まさに学会精神にも似た信念である。
だれよりも働いた。
だれよりも真剣であった。
だれよりも責任感があった。
ゆえに勝った。歴史をつくった。
何の世界であれ、「勝利」は決して偶然ではなく、簡単ではない。
前首相は次の言葉が好きだという。
「政治の世界では、何か言葉が欲しいなら、男に頼め。何か行動がほしいなら女に頼め」――と。
まさに面目躍如といったところである。
「これは学会の世界でも同様ではないか」と言った人がいる。
ともあれ、女性は大切にしなければならない。
また、首相辞任後、彼女はこう語った。
「人生は六十五歳から始まる。私は未来のために働く」――と。
その言葉どおり、彼女は今なお、アメリカを中心にして精力的に講演活動をしている。
ヨーロッパ、日本での講演の予定もある。
先日、アメリカで講演した彼女は、沈黙が誤解や曲解を生むことを指摘し、
「ゆえに私は自分の意見を明確に述べる」と語っている。
戦いである。行動である。
一般的にいっても、悪に対して黙っていたのでは、悪を助長させることになる。
語らねばならない。動かねばならない。
【第四十四回本部幹部会 平成三年七月五日(全集七十七巻)】
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