2015-05-15

「芽兎めう」とは一体何者なのか

最近、「芽兎めう」というキャラクターがやたらバズってる

Twitterでは社畜ネタが爆散し、はてなではそれをまとめた記事が人気エントリ化し話題となった

最近流行でこのキャラクターを知ったものも多いだろう

「芽兎めう」とは一体何者なのか

彼女KONAMIによる「ひなビタ♪」というコンテンツに登場するキャラクターで、元々音ゲーユーザーには有名なキャラである

ひなビタ♪」の概要を簡単に説明すると

「廃れてしまった地元商店街の再興のために少女たちがガールズバンドを組む」といったストーリーを背景としたWeb連動企画であり

FacebookYoutube等でラジオドラマなどのコンテンツが配信され、楽曲等もリリースされている。

わかりやすい例えで言うとけいおん+ラブライブといったところで

架空キャラクターによる音楽バンドという点では初音ミクGorillazなんかも当てはまるかもしれない。

企画、楽曲制作等にKONAMI音ゲー制作に関わってるTOMOSUKE氏が関わっており、

BEMANI等の音ゲーにも楽曲が配信されているということで音ゲーユーザーを中心に人気のあるコンテンツだ。

この「ひなビタ♪」に登場する「芽兎めう」だが「ひなビタ♪」の個性的メンツの中でもインパクトが強く人気も高い。

そのポップでロリな見た目、語尾の「めう」、ネットスラングを多用した喋り。

双葉杏等、癖のあるロリキャラ定評のある中の人CVも相まって初見人間には強い印象を残してくる。

そして何よりも彼女の関わる楽曲の強烈さだ。

彼女の関わる楽曲は全て電波化することで定評があるのだ。

中でも「めうめうぺったんたん」の登場は衝撃的だった。

事件と言ってもいい。

性的メタファーを含んだ歌詞DTM以降の高速に打ち込まれたポップな楽曲中の人よる舌足らずロリボイス。

IOSYSARM作曲、夕野ヨシミが作詞担当したこの曲はいわゆる電波ソングと呼ばれるジャンル

その手のジャンルには事欠かない音ゲー楽曲の中でも突出して電波度が高く、中毒性も高い。

この楽曲音ゲーユーザーだけでもなく多方面話題を呼んだ。

こういった彼女キャラクターの強烈さは音ゲーユーザー内でも人気を確立し、「ひなビタ」全体の人気を牽引するキャラの一人となった。

ネタ」化する「芽兎めう」

そのキャラクターの強烈さと人気故に彼女の「ネタ」化は不可避であった

過去彼女を「ネタ」化する扱いは多岐に及んでいた。

それは彼女検索した時のサジェストを見れば一目瞭然だ。

最近やたらバズってる彼女の「ネタ」化は「社畜キャラである

「芽兎めう」と検索して出てくるのは「社畜」の他に「焼きごて」「池沼」「腹パン」等である

「焼きごて」とは彼女がはんこ屋の娘であるという設定を元にした虐待ネタであり「池沼」は知的障害者の事を指すネットスラングであり、「腹パン」とは腹にパンチする(したい)という意味である

これらのネタを定着させたのはおそらく「焼きごて」は音ゲー板の「芽兎めうに焼きごてをあてるスレ」、「池沼」はTwitterの「虐待されすぎて池沼と化しためうめうbot」の影響だろう。

現在の「社畜」扱いといい、こういった「不謹慎ネタ」として消費されるのは彼女の常であった。

なぜ彼女はこのような不幸な扱いをされなくてはならないのか?

もちろん原作での彼女は明るく活発で元気な少女であり、学校の成績もよく特に不幸なストーリを持ってるわけでもない。

一つには一部のそういったネタを好むユーザーによるネタ拡散があるだろう

こういったキャラを「不謹慎ネタ」として消費することは二次創作界隈ではよくあることであり、特に2ちゃんねるふたば☆ちゃんねる等、匿名ネット上ではからよく見られていた。

東方プロジェクトキャラクリーチャー化させたゆっくり虐待ローゼンメイデン翠星石クリーチャー化した実装石虐待、またひだまりスケッチゆのっちスレのような「腹パンネタなんかもそうだろう。

「芽兎めうに焼きごてをあてるスレ」や「虐待されすぎて池沼と化しためうめうbot」といった「不謹慎ネタ」としての消費のされ方はそういった匿名二次創作歴史の延長線上にあるように思える。

また、彼女の徹底した「記号化」されたキャラクターもこういった「ネタ」や「ミーム」と化した原因であろう。

記号化」されたキャラクターというのもキャラクター論では月並み表現かもしれないが、彼女キャラクターの「徹底した記号性」というのは特筆すべきだと思う。

語尾の「めう」もそうだが、ローティーンスタイルファッションピンクの髪、ウサ耳のついたヘッドホンネットスラングを多用するアキバ系オタクであり高レベル音ゲーマー。

この極端とも言えるポップに描かれたキャラクター性は「ネタ」や「ミーム」的な消費のされやすさの一因であろう。

「芽兎めう」に見る可能性

大塚英志手塚治虫の「勝利の日まで」に出てくるキャラクターミッキーマウスのような「記号的なキャラクター」でありながら「血を流し傷つく身体」を描いた事に日本戦後漫画に影響を与えた特筆すべき点だと述べていた。

トムとジェリーのようなカートゥーン想像して貰えればわかると思うが、戦前アメリカカートゥーンと言うのは、例えば、殴られとしても目を回し星を散らすだけで、そこには「死」を連想させる「身体性」を持っていない

しかしながら17歳の手塚治虫は「勝利の日まで」という漫画においてディズニーに影響された「記号的なキャラクター」でありながら機関銃に打たれ血を流すという「身体性」を持ったキャラクターを描き、大塚はそこに手塚の特異な点を見ていた。

「芽兎めう」を始めとしたの「徹底した記号性」のキャラクターに対するこういった「不謹慎ネタ」による消費のされ方も「記号的なキャラクター」に対する「死」を描いた手塚治虫と何か共通する点が有るように思える。

もちろんの芽兎めうに対する「不謹慎ネタ」と言うのは匿名ネット特有悪趣味悪ノリではある。

しかし、彼らの「不謹慎ネタ」と言うのは、身体性を持たない徹底して記号キャラクターに対して「殴られたら傷つく身体」「過労や虐待で病んでしま精神といった当たり前な人間性を二次創作で補完するという行為は、

「勝利の日まで」でディズニーの「記号的なキャラクター」の「死」描いた17歳の手塚治虫とは全く別のものであるとは言い切れない、何か「普遍的な欲望」を感じずにいられない。

そういった人間の「普遍的な欲望」を引き出す事において「芽兎めう」のあまりに極端な消費のされ方はこれまでキャラクターと一線を画する特異な存在なのかもしれない。

原案TOMOSUKE氏はTwitter上でこう述べている

本来の設定が削げ落ち「めう」という二文字だけ残った情報の残骸、いわば形骸化したミーム然としたものネット特有のヒットライダー現象で拡がり変異と成長を繰り返しているのをみていると

まるでこのたった4バイトの文字情報が極めて強い生存意識ネットワーク上で持っていて、宿主の認知心理を利用して利己遺伝子のように振る舞っているかのようにも思えたりするから言葉の力って凄いと思ったり。

TOMOSUKE氏が自身原案を手がけた「芽兎めう」というキャラクターの「不謹慎ネタ」に対し肯定しているわけではないのだと思う。

しかし今の「芽兎めう」受け入れられ方にに対し何か広い可能性を見ているようにも取れる。

今後、「芽兎めう」がネット上の「ミーム」として漂いどういった消費をされるのかわからない。

もちろんそこには「不謹慎ネタ」的としての消費も含まれるであろう。

しかし、「芽兎めう」というキャラクターが何か大きな可能性に開けている事は確かなのかもしれない。

とにかく「芽兎めう」というキャラクターは凄いということだ。

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