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2015.05.15 (Fri)

WEBニュース

Web&モバイル マーケティング EXPO特別講演レポート~LINE 田端信太郎氏~

「Web&モバイル マーケティング EXPO」の特別講演をレポート。第2弾(第1弾:ネットイヤーグループ佐々木裕彦氏編)は、LINE(株)上級執行役員 法人ビジネス担当の田端信太郎さんです。テーマは、
「LINEが可能にする次世代ブランディングとリアルタイムマーケティング」

linetabata

利用時間はテレビよりスマホが長い。けれど企業の広告予算は・・・・・・

前半は、いかにスマホの時代がやってくるか? について、田端さん独特の調子でぐいぐいアピール(お話を聞いたことがある方は想像していただけると思います)。後半は法人向けサービスの「LINEビジネスコネクト」や「LINEフリーコインVIDEO」が紹介されました。

「皆さんはテレビとスマホ、どちらを見ている時間が長いですか?」 田端さんが会場に問いかけます。スマホが長い方が圧倒的です。
「ではマーケティング予算はマスメディアとスマホの、どちらに多くかけていますか?」 マスに予算をかけている方が多いようです。

「Money follows eye-balls」(お金は目の玉に付いていく)。長い時間見られているメディアこそお金を生むはずなのに、なぜ企業の予算配分はそうならないのか? と田端さんは続けます。

スマホは普及しましたが、社会構造の変化として受け止められるまでには至っていない、と田端さん。裏を返せば、社会構造をひっくり返すくらいの可能性がスマホにはあるということ。今よりもっとスマホ中心の社会になるのは自明なのに、多くの企業は取り組みが十分ではないという主張です。

検索の価値が下がる?

では、スマホ中心になるとどんな変化が起こるのか? 田端さんが指摘するのは「ブラウザからアプリへ」。ニールセンの調査によれば、スマホ利用時間のうちブラウザの利用時間は28%。残りの7割超はそれ以外のアプリが占めています。

ブラウザに必ずあって、その他多くのアプリにないものは何か? Googleの検索窓です。検索クエリのボリュームが減り、検索エンジンのビジネスインパクトが相対的に減ると、田端さんは指摘します。
かつては検索結果の一位を取ることが大きな命題でした。スマホ中心時代には、それがマーケティング要素のあるアプリをホーム画面に置けことに取って代わると。

ならば企業アプリをつくればよいかといえば、そうでもありません。月に1回でも使うアプリは平均27個、普段使いのアプリはわずか9個だといいます(ニールセンの調査より)。


参考:ニールセン スマホアプリ利用状況(2014年)

使われるアプリの中に入らなければ意味はありませんが、それは検索結果で1位になるより難しいこと。LINEやFacebook、Instagramといった定番アプリが数少ない指定席に入っています。誰もが知るトップブランドのアプリでも、その中に割り込むことは、現実的にほとんどありません。

そこでLINEを活用してビジネスを・・・・・・という文脈になるわけですね。

LINEはSNSですが、ケータイメールと同様のメッセンジャーとして普及しました。メールにあってLINEにないのは「スパム」だと、田端さん。ゼロではありませんが、ブロックが簡単なので、読む気のないメッセージが送り続けられている確率が低いのは確か。企業メッセージに対する開封率や、リンクのクリックなどアクション率も高いといいます。

コミュニケーションが主。コンテンツは刺身のツマ

「コンテンツ」「広告」「コミュニケーション」この3つが融合していくと田端さんはいいます。ドラマは録画が当たり前で、CMはスキップされます。ドラマの劇中にスポンサーの企業名をさりげなく入れ込む「プロダクトプレイスメント」も盛んに行われています。

中でも大事なのはコミュニケーションだというのが、田端さんの説です。「女子高生にとって一番のキラーコンテンツは彼氏からのメールだ」という高城剛氏の名言を引いて語ります。100億円かけたハリウッド映画を観ている間でも、彼氏からのメール(今はLINE)は、速攻でチェックします。

コンテンツは世間話についていくためのネタとして消費されます。ニコニコ動画のように、コンテンツにツッコミを入れて楽しむコミュニティはたくさんあります。コンテンツはコミュニケーション楽しむための「刺身のツマ」のようなものになっていると。
そんなユーザーの文脈に合わせることなく、CMやバナー広告を出しても、まず見てもらえません。

LINEコネクトとLINEフリーコインVIDEO

LINEビジネスコネクトは、企業とユーザーの双方向コミュニケーションを実現するプラットフォームです。 例えば、中古車販売のガリバーは、愛車とLINEでトークできるアプリ「DRIVE+」を開発しました。
日本郵便は、オリジナル年賀状をつくるプラットフォームとしてLINEを活用。写真を送るだけで年賀状にしてくれるサービスを展開しました。
SBI証券は、LINEのメッセージで株を売り買いできるサービスを開始しました。トレードアプリをインストールするまでではない潜在層を取り込めます。

アトム法律事務所は、LINEで法律相談できるサービスを開始しました。法律相談したくなるような困ったことが起こった場合、まずは検索するのが一般的な行動でしょう。けれど、ネットに書かれていることが、本当に正しいのか? 自分のケースに当てはまるのか? ユーザーには判断できません。
専門家と「会話」できればより正確な情報が得られて安心です。簡単な質問なら、人工知能での対応も可能。検索がベストの情報探索の手段ではなくなるかもしれません。

LINEフリーコインVIDEOは、動画を視聴するだけで「LINEコイン」(LINEで使える仮想通貨)がたまるシステム。記憶されやすく、視聴完了後のリンククリック率も上々だと言います。

LINE動画とスタンプを組み合わせた「しゃぶしゃぶ温野菜」の成功事例も紹介されました。
参考:http://allabout.co.jp/newsdig/c/73191/2/

まとめ

アプリのパワーが大きくなるとはいえ、「わからないことがあればまず検索」というユーザーの行動は、簡単に変わらないでしょう。検索エンジンは、間違いなく重要なマーケティングの手段ですが、田端さんの言うとおり、従来のようなSEM(検索エンジンマーケティング)一辺倒では立ちゆかなくなるでしょう。LINEのようなコミュニケーションのプラットフォームをうまく利用し、プッシュする発想が大切です。

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この記事を書いた人

小越建典 経営企画室 ( )

フリーランスライター&プランナー。ブレインネットプレスの企画、制作を担当しています。取材してほしい人や企業、記事のテーマなど、どしどしご要望をお待ちしています!!

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