相続税を少しでも安くしたいと誰しもが考えることではないでしょうか?相続税の対策をしっかりしておけば確実に節税をすることが出来ます。相続税は平成27年度の改正により、大増税されておりますので節税の知識をしっかり身につけていきましょう。今回は、相続税、贈与税の節税スキームで代表的な11パターンをご紹介させて頂きます。
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1.貸家(アパート)の購入で相続税の節税を!
(1)節税スキーム1(貸家の評価額が3割減)
みなさんに最初にご質問します。
あなたは、現金5,000万円を保有しております。
①現金5,000万円を保有したまま、亡くなってしまい現金5,000万円が相続された場合 ②現金5,000万円で貸家を取得してから亡くなってしまった場合
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上記の2つのケースでは、相続税にどれだけの違いが出るでしょうか?
しかし、現金で不動産を購入すると、不動産の相続税評価額は、現金で持っているときよりも約3割価値が下がります。
建物(貸家)の相続税評価額 = 建物の評価額 ×(1-30%)
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※5,000万円の貸家は100%賃貸物件としてのみ使用していることを前提に説明します。
①現金をそのまま保有していたら相続税評価額は5,000万円
②現金5,000万円で貸家を購入した場合には、
5,000万円×(1-30%)=3,500万円 となります。

(2)節税スキーム2(土地の評価額が2割減)
貸家が建てられている土地の評価額
= 更地の評価額 ×(1-借地権割合×借家権割合)
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※借地権割合は60~70%(地域によって異なっています)
よって、上記の算式に当てはめると、借地権割合に借家権割合を掛けた分だけ評価が下がることとなります。
この更地の上に貸家を建設した場合
①貸家を建てなければ、土地の評価額は1億円
②貸家を建てた場合の土地の評価額は?
1億円×(1―60%×30%)=8,200万円 なんと土地の評価額が18%ダウン
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または
1億円×(1―70%×30%)=7,900万円 なんと土地の評価額が21%ダウン
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※借地権割合は地域によって60%か70%となるため、どちらの場合もご説明致しました。
よって、貸家を建てるだけで、『約2割』土地の評価額を下げることが出来るのです。
2.生命保険を利用した相続税の節税対策とは?
ただし、妻が受け取る保険金のうち、
「法定相続人の数×500万円は非課税」
に、自動的になります。
父(あなた)に家族で妻と子供が3人いる場合
生命保険には、「終身保険」や「養老保険」など、支払った保険料のうちほぼ100%戻ってくる商品もあります。
3.養子縁組による節税方法があるって本当?
(1)養子縁組による節税効果は?
①基礎控除額が増える
相続人が1人増えると、基礎控除額が600万円増えます。
②生命保険の非課税枠が増える
相続人が1人増えると、非課税の枠が一人分の500万円が増加致します。
③相続税の税率が下がる
相続人が増えると、相続人1人あたりの受け取り金額が少なくなります。よって、税率の区分が変わって税金が安くなることがあります。
(2)養子縁組による注意点
相続税を計算する上での養子の人数には、 一定の制限が加えられております。
・亡くなった方に実の子供がいる場合
⇒法定相続人の数に含めることができる養子の数は一人まで
・亡くなった方に実の子供がいない場合
この場合の法定相続人の数に含められる養子の数は全部で二人まで
4.信託を利用した相続税の節税方法とは?
5.110万円の基礎控除を利用した相続税の対策とは何か?
贈与税は一人が1月1日から12月31日までの間に取得した財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。
取得財産合計 - 110万円 この金額に対して課税されます。
6.配偶者への贈与で節税対策!
何も考えることなく贈与すると不利益が及ぶ可能性がありますので、専門家と相談して実行に当たっては、タイミングや金額について検討することが重要となります。
①夫婦の婚姻期間が20年以上であること ②贈与を受ける者が住む住宅または住宅を取得するための資金の贈与であること ③贈与を受けた者が、その翌年3月15日までに贈与により取得した不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること
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7.相続時精算課税制度を上手く利用して節税を!!
相続時精算課税制度は撤回できないということです。
相続のときまで継続してこの制度が受贈者(贈与を受けた方)に適用されることになります。
相続時精算課税制度を利用する場合、相続時には相続財産の他にこの制度により贈与を受けた金額も加算して相続税を計算しなくてはなりません。そのため、相続時精算課税は、将来相続税が発生しないような家庭の場合で、かつ、今のうちに多くの財産が欲しい場合には相続時精算課税制度は非常にメリットがある制度となっております。
8.住宅取得資金贈与の贈与を上手く利用して節税を!!
詳しい内容はこちらのサイトに詳しく載っていますので、ご確認ください。
贈与した年の翌年3月15日までに住宅を取得し居住開始、または未完成・未入居でも完成後すぐに居住することが確実であることが条件です
この特例は住宅取得等のための資金に限られております。
9.『教育資金の贈与』を上手く利用して節税を!!
学校教育費とは、学校に直接支払うものの他に、教材や制服なども対象になりますが、塾や習い事の費用は、指導者に直接支払うもののみが対象となっております。
非課税枠1500万円のうち、「学校教育費のうち販売店に支払うもの」と「塾や習い事の費用」は、合わせて500万円が非課税限度額です。
詳しくはこちらのサイトに書かれておりますので参照してみてください。
10.『広大地評価』を利用して節税を!
11.『小規模宅地の特例』を利用して節税を!
小規模宅地の特例は、相続財産のうちに、
①被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)または被相続人と同一生計(一緒に暮らしている)親族の事業用または居住用になっていた宅地等
②建物等の敷地となっているもの
(小規模宅地の特例を使わないとどれだけ損するか?)
570万円節約になる事例!!
配偶者
配偶者と同居の息子A
配偶者と別居の息子B |
自宅用敷地1億円
建物2,000万円
預金2,000万円
保険1,000万円
合計1億5,000万円
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配偶者がすべての自宅用敷地を受け取った場合 1億円 ⇒ 2,000万円(小規模宅地の特例で財産評価額が下がる)
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同居の息子Aがすべての自宅用敷地を受け取った場合 1億円 ⇒ 2,000万円(小規模宅地の特例で財産評価額が下がる)
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別居の息子Bがすべての自宅用敷地を受け取った場合 ケース③の別居の息子Bが受け取ってしまうと小規模宅地の特例を使用できないため、1億円の土地の評価額を減らすことができません。
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7,000万円✕1/2✕20%-200万円=500万円(配偶者の税金) 7,000万円✕1/4✕15%-50万円=212.5万円(子供Aの税金) 7,000万円✕1/4✕15%-50万円=212.5万円(子供Bの税金) 合計の相続税額は925万円 特例を利用するように工夫するだけで、570万円節税となります。
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15,000万円-基礎控除(4,800万円)=10,200万円 10,200万円✕1/2 ×30%-700万円=830万円(配偶者の税金) 10,200万円✕1/4✕15%-50万円=332.5万円(子供Aの税金) 10,200万円✕1/4✕15%-50万円=332.5万円(子供Bの税金) 合計の相続税額は1,495万円
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まとめ
相続税や贈与税は早めに対策を取ることによって大幅な節税が可能となります。少しでも不安な場合には、相続税専門の税理士にご相談の上、節税の準備をしていきましょう。
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