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未来の働き方はあなたがつくる–『WORK SHIFT』著者が語る、働き方を見直すべき3つの理由

未来の働き方はあなたがつくる–『WORK SHIFT』著者が語る、働き方を見直すべき3つの理由

あなたは何のために働いていますか? 『ワーク・シフト』の著者でロンドンビジネススクールの教授Lynda Gratton(リンダ・グラットン)氏は、テクノロジーの進化などにより働き方が激変する未来を予測する。時代の変化に対応し、幸せな未来を手にするために働き方の見直しを提案する。(TED×LondonBusinessSchool2012より)

参照動画
TED×LondonBusinessSchool 2012 -Lynda Gratton- How to be ready for your future, now
スピーカー
ロンドンビジネススクール 教授 Lynda Gratton(リンダ・グラットン) 氏
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マサイ族の戦士がポケットから取り出したもの

リンダ・グラットン氏:私たちの人生では、時に考え方や未来の計画を変えてしまうような出来事に出会うことがあります。今日はまず、5年ほど前に私に起こった出来事を皆さんにお話ししていきたいと思います。その出来事のおかげで私は、私たち自身をどのように革新していくかについてよく考えるようになりました。

4年ほど前、私は下の息子ドミニクをアフリカに連れて行くことを決めました。彼はそこらにいるようなイギリスの10代の若者で、ありあまる時間を遊んで過ごしていました。

私は彼に、アフリカで今何が起こっているのかを知って欲しかったのです。とりわけ彼はちょうど青年期に差し掛かるところで、私は彼にマサイ族の戦士たちと過ごしてみてほしかったのです。

(会場笑)

そして私たちは飛行機に乗り、小さなプライベートジェットに乗り継ぎ、車に乗ってついにタンザニアのマサイマラの中間に位置するマサイ村に2日半かけて辿り着きました。

私たちが望んでいたように、マサイ戦士たちは彼らの儀式や色々なことについて話してくれました。それは10代の若者にとって、戦士とはどういったものかを知る本当に素晴らしい機会でした。

ある朝、彼は私たちを丘の上に連れて行き、そこから見えるマサイ族の地区を見せてくれました。そこで彼が話してくれたのは、どのようにマサイ戦士になったかということでした。そして、どのように生きていかなければならなかったかということも示唆されていました。

彼はマサイ族の赤く美しいゆったりとした服を着て、槍を持ってそこに立っていました。槍はライオンを殺すためのものです。これこそ「本物」の瞬間でした。

するとそこで、おかしな音が聞こえてきたのです。どなたかこのおかしな音が何か、思いつく方はいますか?

会場:携帯電話!

そう、彼の携帯電話だったのです! 彼はヒョウ皮のポケットから携帯電話を取り出すと、そこらにいる23歳の若者のように、電話越しの会話に夢中になってました。その瞬間、私はそれまで自分が想像していた以上に、世界は変化していたということに気付きました。

進化する文明の中でも、変わることのない価値観

しかしその日の午後に起こったのは、それだけではありませんでした。彼が電話を切った後、私はロンドンビジネススクールの質問好きな教授として彼にこう尋ねました。

「何の話を誰としていたの?」

そして彼は「あぁ、弟と話をしていたんですよ」と答えました。

彼は戦士で、彼の仕事は牛の世話をすることでした。彼の弟はというと、私の息子より年下の12歳でヤギの世話をしており、その日の朝6時にヤギを外に連れて行くために家を出ました。そして12時になったその時、弟は兄に「ヤギたちがちょうど草原を見つけたところだよ」と電話をしてきたのです。

今私が話したことは、未来における逆説です。なぜなら様々な方法で物事は想像を超えるからです。誰が4年前、マサイ族の戦士が携帯電話を使っていたと想像できたでしょうか? 電気も車も冷蔵庫も持たない彼が、しかし携帯電話は持っていました。

しかしそれと同時に、価値観や信念や信仰、彼にとって重要なものたちは本質的に変わっていないのです。

「どんな人生を創っていきたいか?」

私たちが今直面している問題は、我々が今までにかつてないほど大きな転換地点のど真ん中にいるということです。私の著書『ワーク・シフト』では産業革命以来の大きな転換地点と書きましたが、もうそんなふうには思いません。

私が本を書いてから2年の間に、今までで最も大きな転換地点にいるということに気付きました。そして我々が直面している問題に対するひとつの努力として、私たち自身にこう問いかけることです。

「どんな世界を私たちは創っていきたいか?」

もっと重要なのは「どんな人生を自分は創っていきたいのか?」。

我々にとってとても困難な局面が未来に待っていることは疑いようがありあせん。それは目隠しをされて未来を歩いていくようなものです。それでは選択ができず、ただ目の前に広がる未来を歩くだけです。

もしくはもっと意味ある未来を築くことだってできるのです。「自分の手で創っていく未来」と呼びましょう。そしてそうするために、私たちはこの20から30年以内に我々に起こる出来事の良い面と悪い面の両方を考えなくてはいけません。未来においてとても明白なことのひとつに、私たちの生活、子どもたちの生活があります。

しかしこれらは壊されてしまう可能性もあります。3分間の間に生活の全てが壊れてしまうことだってあり得るのです。今この瞬間でさえ、継続的にテクノロジーによって私たちの生活が阻害されています。それは機嫌の悪い2歳児のようなものです。

私たちは生活の中で内省したり思慮深くなる時間がないのです。孤独や孤立は我々の生活に必要なものです。しかし我々の時間を阻害したり、私たちに機嫌の悪い2歳児の振る舞いをさせるようなテクノロジーは必要だとは思いません。しかしそれはまた共創のための非常に多くの機会を与えてもくれるのです。

今現在、世界中で数万人の人々が「InnoCentive」のようにプラットフォーム上でアイディアをシェアしたり、問題を解決するために共に考えたりということを自国はもちろん他国でも行っています。それは孤立した世界にもなり得ます。

多くの人々にとって小さな単位の家庭で生きる可能性があります。都市へ移住し、家族のルーツをなくし、とても流動的になり、自宅でも働くようになりました。そしてこれらは孤立した未来につながり、つながりを得ることがとても難しい未来にもなり得るのです。

しかし同時に、今日我々が住む社会やコミュニティの一員となる機会も多くあるのです。そして排他的な世界にも。富む者は更に豊かになり、貧困層は更に貧しくなります。これはどこにでも見られることです。

もしくはそういった教育を受けられなかった場合、世界の創造的な価値に触れることはできません。しかし、あなたが生きることになるであろう世界と50億人の人々が、マサイ戦士が持っていたような、片手で持てるような機器によってもたらされる豊富な知識により、お互いに繋がりあうことができるのです。

ジェネラリストか、スペシャリストか

私がここで提案したいのは、我々は目隠しをしたまま未来を歩くこともできるけれど、その代わりに私たちの考え方や行動や未来を変えるために重要ないくつかの変化を遂げることもできます。私たちはこの2つの選択に直面しているように思います。

そこで3つの変化を提案したいのです。ひとりひとりが自身の未来をどう創っていくのかを考えるべきだと私は思います。

まず最初に、自分のスキルについて考えましょう。皆さんはもしかしたら、ジェネラリストになることが素晴らしく、そのために時間を費やすのが良いと思っているかもしれません。T型人材(注:特定の分野における専門性を自らの軸に据えつつ、さらにそれ以外のジャンルについても幅広い知見を併せ持っている人材)になる必要があり、たくさんのことを少しだけ知るのが良いと。

しかし率直に言って、そうしたところであなたのライバルは中国で高水準の教育を受けた人々ではありません。あなた方のライバルは、ウィキペディアやグーグルです。だから、何かに精通することです。あなたが好きなこと、情熱を傾けられる分野に焦点を合わすのです。

私の見解からすると、未来はさらに専門分野化していくからです。もしそこで2つのことができるのなら、さらに良いです。ということで、まずは最初の変化として自分が何を好きか、何に情熱を感じ、集中できるのかを考えることです。

ネットワークを活かしてアイディアを共有しよう

次に、私が成長するにつれて、生活していく方法を考える上で考えなければいけなかったのは競争です。この世界には順位があって、上位にいく人もいれば下位になる人もいます。自分が上位にいきたいのであれば、周りにいる人々と競って、自分がなり得る1番でなければならない。

今、私たちが未来について気付き始めているのは、協力したり共同作業をすることによって価値を築くことができる、素晴らしい機会があるということです。テクノロジーや10億もの人々とのネットワーク、豊富な知識は素晴らしい機会を与えてくれます。ただ競うことではなく、ネットワークがさらに重要になっていくということがわかります。

こういったネットワークで上位階級の人々と繋がることだってあります。そういった人たちがあなたの言っていることを理解し、話に乗ってきてくれれば、これは循環コミュニティとなります。こういった人々が近くにいて、一緒に時間を費やし、自分自身が思慮深くいれる、これは大きなアイディアの集合体となります。

何千人もの人々がいて、そのひとりひとりがあなただけでは到底考えられないアイディアを持っています。そしてあなたのアイディアと結び付けてみると、それはとても価値のあるものになり得るのです。

お金のために働くのはやめよう

最後の変化はこれです。組織が産業化していったときの労働者たちの取引は、皆さんご存知の通りとても簡単でした。お金を稼ぐために働き、そのお金で物を買えば、幸せになる。私は、このシステムはこれ以上機能しないと思うのです。

私たちが気付き始めているのは、高水準の生活と幸せを感じるかどうかとの相関性はほぼないということです。私たちが75歳まで働いたとして、生活の中心を仕事にしたとします。これはほとんどの人にとってあり得ますよね? そうすると仕事は意味を見出す場所となるでしょう。

そして将来的には、お金を稼ぎ、物を買い消費するために仕事をするという考えが少数派になってくると私は考えています。仕事そのものをむしろ、私たちを高めてくれる創造や可能性の源泉と捉えていくだろうと思うのです。

人間の可能性は無限です。一方で、大きな困難も私たちの行く道に待ち構えています。しかしそれと同時に、この先10、20年が全ての人にとってとてつもなくおもしろい時代になるとも私は思っています。

※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。

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