安保関連法案:閣議決定 野党は徹底審議を要求
毎日新聞 2015年05月14日 22時06分(最終更新 05月14日 23時54分)
政府が新たな安全保障関連法案を14日、閣議決定したことに対し、野党各党から批判が相次いだ。国会での徹底した審議を要求するほか、20日の党首討論でも民主党の岡田克也代表らが安倍晋三首相を問いただす構えだ。【横田愛、村尾哲】
岡田氏は閣議決定後、「戦後70年間の平和は憲法と日米同盟で実現したが、海外で武力行使しない憲法の根幹を変える閣議決定だ。これで国民の命と生活が守られるのか、はなはだ疑問だ」と述べ、「解釈改憲」を強く批判した。
共産党の志位和夫委員長も「戦闘地域まで行き米軍を支援し、自衛隊が殺し、殺される戦闘に加わる。日本がどこからも攻撃されなくても集団的自衛権を発動し、武力行使に乗り出すことになる」と強い懸念を示した。
野党側は政権が成立を急ぐ姿勢を批判し、十分な説明を求める戦略をとる。国連平和維持活動(PKO)協力法など過去の安全保障関連の法案を巡る国会論戦では野党側が存在感を示したこともある。今回の安保法制でも集団的自衛権の行使が可能になる「存立危機事態」の曖昧さなどが指摘されている。岡田氏は14日、記者団に「これだけ問題なので、しっかり納得できる説明を首相に求めていく」と強調した。数で勝る与党に対し、政策面で追い詰めたい考えだ。20日の党首討論がまず最初の関門となる。
ただ、こうした戦略は野党共闘の弱さの裏返しでもある。維新の党は修正協議も視野に入れる。次世代の党の松沢成文幹事長は「日本の安全保障の体制を強化し抑止力を高める意味で賛成の立場だ」と賛成を表明した。
一方、与党側は意義を強調した。自民党の稲田朋美政調会長は与党合意後、「世界の中で人々が平和に暮らせるため、日本が憲法の範囲内で貢献していく非常に意義の深い法案になる。きちんと国民にも理解してもらった上で成立をしてもらいたい」と語った。
また、公明党の山口那津男代表は閣議決定後に国会内で臨時に記者会見し「日米同盟の隙間(すきま)のない法制を整えることによって抑止力が高まり、戦争を起こさない働きを高める点が大事だ」と法案を評価。「活動の意義と歯止めをしっかり守って法律が運用される限り、『戦争法案』というレッテル貼りはまったく当たらない」と強調した。