ヤクルトー阪神戦(13日・神宮球場)で、マートンの本塁突入のプレーを巡って、あわや乱闘の騒動となり、真中監督が球審に抗議、試合後も、その怒りは収まらずに、そのプレーを強烈非難した。真中監督の激怒は、当然なのか。マートンのキャッチャーへタックルを仕掛けた走塁は、暗黙のルール違反なのか。

 問題のプレーは、2回一死三塁の場面で起きた。伊藤隼太のライトへの定位置からやや前にあがったフライで、三塁走者のマートンがタッチアップ。元投手である雄平の見事なダイレクト送球は、マートンの足より早く、西田のミットに収まった。余裕のタイミングでアウトだったが、マートンは、両手を体の前でエックス字に構えて、正面からの体当たりを仕掛けた。キャッチャーを弾き飛ばして落球を誘うラフなプレーだったが、西田は、後方に飛ばされながらもボールを離さず、ホームを死守、得点を許さなかった。だが、マートンが何やらヤクルトベンチに向かって、叫んだこともあって、両軍ベンチから選手が飛び出て、あわや乱闘に発展しそうな騒ぎとなった。

 マートンとヤクルトには因縁があった。13年5月12日にも、田中雅がマートンに同じような状況でタックルされて左鎖骨を骨折。その年の9月14日にも、相川(現在巨人)が、また正面から体当たりをされたという伏線もあったのだ。

 真中監督は「選手生命に関わる危険なプレーだ」と球審に徹底抗議。試合後にも「本塁ベース(の一角を)あけている状態で、あんなタックルはないだろう。マートンも日本でやっているのだから、日本のルールでやってほしい」と怒りが覚めやらなかった。

 現役時代にホーム突入による激突で2度骨折の経験のある元ロッテの里崎智也氏は「マートンのタックルは当然のプレー」という見解を示す。

「マートンがスパイクの歯を向けてスライディングしてくるとか、明らかに危険な行為をしたわけではなく、タイミングがアウトの状況で、正面からタックルで落球を誘うのは、問題のないプレーです。これがWBCなら間違いなく起きるプレーでしょう。現在、統一球も含め、野球の国際基準に近づけることを進めているならば、なおさらです。メジャーも日本もルールに違いはありません。キャッチャーはホームの一角をあけておくのはルールにありますが、そこに滑らねばならないというルールはありません。この試合の勝ち負けで優勝が決まるゲームなら、当然、体当たりをしていくでしょうし、誰も文句は言いませんよね。
 チームが連敗中だったこともあって、真中監督が選手を守り、ベンチの士気をあげるために抗議することは理解できます。過去にマートンに2度、キャッチャーが怪我をさせられていたという伏線もあったのでしょう。だが、あのマートンの走塁の是非を問われるならば、問題がないというのが答えでしょう」
 

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