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かつて戸田先生は、「社会に信念の人を」と題して論じられた。
その冒頭に、「私は、いまの日本国をみて、なんとなく、ものたりなさを感じている」と。
「もはや戦後ではない」(この年の『経済白書』)といわれた時代である。
景気も順調であった。
社会のさまざまな分野で、ある程度、《組織》ができあがり、
一応のまとまりをみせていた。人心も、それなりに安定したように見えた。
だが先生は、その時代相に満足されなかった。
「なんとなく、ものたりない」「なんとなく底が浅い」との印象を率直に述べられた。
なぜか。
先生はそこに、「事なかれ主義」の風潮を厳しく見抜いておられたのである。
つまり「上から命令されたことを、ただ間違いなく、こなしていればよい」
「自分の持ち場に失策さえなければ十分だ」
「与えられたことだけを、責任を追及されない程度にやっておけばよい」
――そんな《小利口さ》の蔓延を、鋭く指摘されたのである。
それはまた、近年の管理会社への、先見的な洞察でもあった。
そして、だからこそ、「社会に信念の人がほしい」と。
みずからの信念のままに生き、ちっぽけな《限界》や《枠》など打ち破って、
縦横に活躍する人がほしい――これが、戸田先生の心情であられた。
その「信念の人」をつくるには、どうするか。
先生は、よく「生命力を強める以外にない。
そのためには、信心しかない」と述べられている。
一人一人が、「生き生きとして、はちきれるような生命力」
「ぴんと、はじけるような生命力」をわき立たせていくことだ。
それには大聖人の仏法によるしかない、と。
この戸田先生の心のままに、学会は現実社会のなかに、
はつらつたる生命力を脈動させながら、「信念の人」を育て、送りだしてきた。
【結成四十周年記念青年部総会 平成三年七月十四日(全集七十七巻)】
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