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【大相撲】

佐田の海、金星獲った 日馬破り4戦全勝

2015年5月14日 紙面から

取り直しの一番で佐田の海(奥)が引っ掛けで日馬富士を破る=両国国技館で(冨永豊撮影)

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◇夏場所<4日目>

(13日・両国国技館)

 佐田の海(28)=境川=が、横綱日馬富士(31)=伊勢ケ浜=を引っ掛けで破り、初金星を挙げた。横綱白鵬は豊ノ島をはたき込んで1敗を守った。3大関はそろって敗れた。稀勢の里は栃ノ心に突き落とされて初黒星。琴奨菊と豪栄道は2敗目となった。勝ちっ放しは佐田の海、高安、魁聖、阿夢露の平幕4人で、4日目で三役以上に全勝がいないのは2008年九州場所以来。

 関脇照ノ富士は小結逸ノ城を上手投げで退け、3勝目を挙げた。逸ノ城は2勝2敗。左膝を痛めている遠藤は4連敗。

 取り直しの一番。土俵に舞った座布団を見た佐田の海は「軍配は分からなかった。座布団が飛んでたんで勝ったんだなと…」。初金星の実感がジワリと込み上げてきた。

 日馬富士の右腕を引っかけながら、俵に乗せた左脚一本で踏みとどまった。前日(3日目)の夜に父と電話で話をした。父は元小結佐田の海の松村宏司さん。「横綱、大関と相撲を取れることに感謝して相撲を取りなさいと言われた」。アドバイスをくれた父が成しえなかった金星獲得は何よりの恩返しとなった。

 佐田の海が力士になりたいと思ったのは「幼稚園の年中のとき」。物心ついたときから力士の父に憧れていた。幕内力士はこの時期、しこ名の入った浴衣地を作って配るのが慣習となっている。今年の浴衣地は父が現役時代に作ったものと、色だけが違う当時の「復刻版」。ここにも感謝の気持ちが込められている。

 新十両昇進から7場所目の2011年秋場所で右足首を脱臼骨折。その後は2年間も幕下に低迷した。「正直、つらくてやめたいと思ったこともあったけど、親方やおかみさん、応援してくれる方に支えてもらえてもう一回関取にと思った。横綱や大関と対戦できて、あのとき辞めなくてよかった」。十両に復帰するまでに左目の眼窩(がんか)底骨折もしたが、それも乗り越えた。

 真面目な性格。十両に戻るまでは「お酒は飲みません」と誓い、部屋に近い足立区スポーツセンターで筋トレ。「上がる重さが自信になる」と打ち込んだ。その姿勢は今も変わらず、初金星をとっても「お酒は飲みません。番付発表から飲んでません」という。

 新入幕した昨年夏場所が、史上8組目の親子幕内。その場所で敢闘賞を獲得し、史上初めてとなる新入幕場所での親子三賞を達成した。父ができなかった金星獲得を果たしたが、まだ越えられない。「オヤジが三役なんで、三役までは上がりたい。そこを目指して相撲界に入りましたから」。もう少し、父の背中を追いかける。 (岸本隆)

 

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