ここから本文です

通算200勝を果たした中畑監督は名将なのか

THE PAGE 5月14日(木)18時38分配信

 中畑監督は、師と仰ぐ長嶋茂雄氏のイズムを随所に継承しているが、掛布氏の言うようなエンジョイベースボールという原点がチームの風土に変わっていうのだろう。ベンチでの中畑監督の喜怒哀楽に鼓舞されるように、一度、勢いに乗りだすと手がつけられなくなる。新マシンガン打線と呼ばれる打線が、その象徴。1番の石川と、3番の梶谷から、筒香、ロペス、バルディリスまでが固定され、関根、井手、倉本、飛雄馬らをうまくあてはめながら、捕手陣も黒羽根、嶺井、高城の3人が競争することで底上げされてきた。

 投手陣に目を向けると、開幕の久保はなかなか勝てなかったが、山口、井納、三嶋ら先発が揃ってきて左の田中―山崎の後半2イニングには安定感がある。モスコーソが故障から復帰してくればさらに厚みが増す。

 中畑監督は、「先行されても、いけるというムードがベンチに充満している。やっていて楽しいねえ。こんなのでいいのかなと思うくらいにね。みんなが集中して、日替わりのヒーローが出てきているのが、めちゃいいね」と言うが、そういう勢いの持てるチームを3年かけて作り上げた手腕は評価されるべきだ。

 ただ監督としての甘さも随所に見えることも否定できない。あるチームの幹部は「中畑監督の野球には怖さがない」と語っていた。繰り返す配球ミス、相手の隙をつく機動力の不足、守備フォーメーションの徹底不足、継投ミスなどベンチワークに嫌らしさや怖さはない。簡単に次の手も読まれる。「落合監督なら、もっと成績を残すのでは?」と想定させる場面も少なくない。

 掛布氏も「巨人、阪神のようにメディアやファンの監視が厳しい球団ではない横浜ゆえにできること、許されることも多くて、そこも中畑監督の追い風となっている」と言うが、確かに巨人、阪神で3年連続Bクラスの成績では、続投が容認されることはなかっただろう。そういう意味では、異色の長期政権となっている中畑監督が、このまま優勝へと突っ走れば、新しい監督像を構築することになるのかもしれない。

12次へ
2ページ中2ページ目を表示

最終更新:5月14日(木)22時4分

THE PAGE

 

スポーツナビ 野球情報